「古い車だから、最低限の補償でいい」と考える方は少なくありません。確かに、保険料を抑える目的で対人・対物無制限と弁護士特約だけに絞るという選択は、理にかなったものです。しかし、その一方で、意外なリスクや見落としが存在することもあります。この記事では、14年落ちの車に乗る人が抱える保険の悩みに答えつつ、必要な補償内容の判断基準を解説します。
対人・対物無制限+弁護士特約の基本と強み
この組み合わせは、自動車保険の「安心基本セット」とも言える構成です。
- 対人賠償無制限:事故で他人を死傷させた場合に備える必須の補償。
- 対物賠償無制限:他人の車や物を壊したときに高額請求に対応可能。
- 弁護士特約:もらい事故など過失ゼロの事故時に法的支援を受けられる。
これらを組み合わせることで、自身の過失に関わる損害から、被害者としての交渉支援まで広範囲にカバーできます。
車両保険は不要?フィット14年落ちの実用的判断
車両保険は自己の車の損害を補償しますが、年式が古いと保険金額(時価額)が低く、保険料と比較してコストパフォーマンスが悪くなる傾向があります。例えば、14年落ちのフィットで時価30万円となれば、補償額以上の保険料を数年払うことも。
そのため、現金で修理や買い替えに対応できるなら、車両保険を外す判断は妥当です。ただし、ローンで購入した車や、毎日通勤に使うなど「すぐに代替車が必要」な状況なら再考の余地があります。
「車対車限定の車両保険」は本当に無用か?
「車対車限定」とは、他車との接触事故に限って補償する特約です。単独事故(自損や落下物による損傷)には使えません。そのため、対物保険で相手車に対する賠償はできますが、自車の損害を補うにはこの特約が必要です。
ただし、10年以上の古車にとっては、保険金額の低さと支払い条件の厳しさ(相手が確認できない事故では対象外など)を踏まえると、不要と判断する方が多いのも事実です。
自分の車が壊れたらどうする?備えとリスクのバランス
「車両保険なし」で事故に遭うと、自分の過失割合に応じて自己負担が発生します。過失5:5の事故で、修理代30万円のうち15万円は自己負担になる可能性も。
このリスクをどう受け止めるかが保険選択の分かれ目になります。
- 蓄えや予備の車がある→車両保険なしでもOK
- 突発的な支出が困難→補償は最低限でも慎重に
保険料3万円台の範囲でできる最適設計とは?
年間保険料3万円程度で収めるなら、対人・対物無制限+弁護士特約が最も効率的な内容です。車両保険は外すことで大幅に保険料を抑えられます。
もし心配であれば、自賠責保険の補償範囲を確認し、不足する部分だけ民間保険で補うという設計も有効です。
まとめ:車の価値と使い方を基準に柔軟な保険選びを
14年落ちのフィットであれば、車両保険を外し「対人・対物無制限+弁護士特約」で十分という判断は合理的です。ただし、それは「事故で車が使えなくなった場合の費用や生活に備える余裕がある」という前提で成り立つものです。
保険は「転ばぬ先の杖」。自身の経済状況や生活スタイルに合わせて、過不足ない設計を心がけることが大切です。