本人訴訟で戦うという選択肢:弁護士を頼らずに裁判を進めるための知識と実例

日本では、民事訴訟において原告・被告ともに弁護士をつけずに裁判に臨む「本人訴訟」が認められています。特に被告側で弁護士を依頼せず、自ら対応するケースは少なくありませんが、相応の準備と知識が必要です。この記事では本人訴訟の概要から実例、注意点まで詳しく解説します。

本人訴訟とは?

本人訴訟とは、弁護士に依頼せずに、当事者が自分自身で裁判の手続きや主張・立証を行う訴訟形態です。民事裁判では法律上これが認められており、裁判所の手続きや書面提出も当事者自身で行います。

これは費用を抑えることができる反面、法律の知識や訴訟手続きの理解が必要不可欠で、リスクも伴います。

本人訴訟を選ぶ主な理由

  • 弁護士費用を支払う余裕がない
  • トラブルの内容が比較的シンプルで、自分で説明できる
  • 裁判の主導権を自分で握りたい

実際、借金や家賃滞納、交通事故の損害賠償などでは、被告側で本人訴訟を選択する人も見られます。

本人訴訟での準備と進め方

本人訴訟を行うにあたっては、事前準備が非常に重要です。以下は基本的な流れです。

  • 訴状や答弁書の作成
  • 証拠の収集と整理
  • 期日呼出への対応と出廷
  • 書類の提出や主張の展開

たとえば、答弁書では、相手の主張を認めるか否認するか明確にし、証拠の提示も求められます。裁判所の書記官に相談することで、書式や提出期限などの案内を得られることもあります。

本人訴訟の成功例と失敗例

【成功例】家主からの明け渡し請求に対し、借主が滞納の事実を認めつつも事情説明と分割払いを申し出て和解に成功した事例があります。このような場合、交渉力と誠意ある対応が評価されました。

【失敗例】一方で、証拠書類の提出ミスや、法律上の要件を満たしていない主張をしたために敗訴する例もあります。法的根拠の乏しい感情的な主張は通りません。

本人訴訟のリスクと注意点

法律の専門知識が不足していると、不利な判決を受ける可能性が高くなります。とくに以下の点は注意が必要です。

  • 書類の不備や提出漏れ
  • 証拠の不備や提出時期のミス
  • 相手弁護士との対応力の差

また、裁判所は法的助言はしてくれないため、最終的な判断は自己責任となります。

裁判所や法テラスの活用

本人訴訟をサポートする制度もあります。たとえば、法テラス(日本司法支援センター)では、無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を提供しています。

また、裁判所のウェブサイトや窓口では、答弁書や準備書面の記載例も閲覧可能で、初めての本人訴訟でも最低限の支援は得られます。

まとめ:本人訴訟は可能だが慎重な判断が必要

被告側での本人訴訟は法律的には可能ですが、勝訴を目指すのであれば準備と知識が求められます。事案の性質によっては弁護士を依頼したほうが安心なケースもあるため、まずは法テラスなどで無料相談を活用し、適切な判断をすることが重要です。

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