交通量の多い道路で車が停止したまま動かず、運転手が眠っていたという事例は決して珍しくありません。しかし、運転中に意識を失った状態で車を停車させていた場合、それがたとえ事故に繋がっていなくても、法律上は見過ごせない問題になることがあります。この記事では、運転中に寝てしまった場合に問われうる罰則や、通報後の対応について詳しく解説します。
運転中に眠ってしまう行為は違法か?
運転中の居眠りは「安全運転義務違反」として道路交通法第70条に抵触する可能性があります。この条文では、車両等の運転者は他人に危害を及ぼさないように運転しなければならないと定められており、眠気による不適切な運転も違反の対象になります。
たとえば、運転中に眠ってしまい車線内で停止してしまった場合でも、周囲の車両にとっては著しい危険となるため、警察に通報された場合には事情聴取や違反処理の対象となることがあります。
居眠り運転による罰則と行政処分の可能性
実際に事故を起こしていなくても、居眠り状態で車を停車させていた場合、次のような処分が科される可能性があります。
- 安全運転義務違反(違反点数2点、反則金9,000円〜)
- 悪質と判断された場合は刑事罰(過失運転致傷罪等)
なお、事故を伴わない軽微な違反であれば、反則金の支払いと点数加点で終わるケースが多いですが、再発の恐れがあると判断されれば、免許停止や医師の診断提出を求められることもあります。
救急車・警察が出動した場合の流れ
目の前の車が不自然に停止しており、運転手が反応しない場合は、ためらわずに119番・110番で通報することが適切です。救急・警察が到着した後は、状況確認のため本人への聴取、健康状態のチェック、必要に応じて病院搬送などが行われます。
また、通報者(発見者)が事情を説明した後は、警察の判断で対応が終了することがほとんどで、通報した側が責任を問われることは基本的にありません。
「寝ていただけ」では済まないケースもある
運転中に眠ってしまったという場合、その背後に持病(てんかん、無呼吸症候群など)やアルコール・薬物の影響がある場合には、より厳しく対応されます。たとえば、過去に病気で意識を失った経験があるにも関わらず申告していなかった場合、免許取消や罰則の対象になる可能性があります。
一方で、「一時的な疲労で眠ってしまった」ということであれば、軽微な行政処分で済むこともありますが、繰り返し起こすような場合は重大な問題として扱われることになります。
実際に関わった場合、通報した人の対応は正しかった?
目の前で車が動かず、運転手が寝ているように見える場合、外から窓をノックして呼びかけるのは、正当な救助行為として評価されます。特に、健康状態が不明な場合には、命に関わる可能性もあるため、救急車を呼ぶことは非常に重要です。
たとえば今回のように、運転手が「寝ていただけ」だったとしても、万一急病であれば放置は重大な事故につながる可能性があります。結果的に何事もなかったとしても、通報や確認は社会的にも正当な行動です。
まとめ:運転中の眠気は自己責任、通報は正当な行為
運転中に眠ってしまうことは、道路交通法違反に該当し、事故がなくても罰則が科される可能性があります。一方、通報や確認を行った第三者の行動は適切であり、社会的にも推奨される行動です。
長時間の運転や体調不良を感じたときは、無理をせず必ず休憩を取りましょう。そして、同様の状況に遭遇した場合は、安全を最優先に冷静な判断と通報を行うことが大切です。