被害届の警察対応とは?身内間トラブルでも知っておくべき流れとポイントを解説

身内同士で金銭トラブルが起きた際、やむを得ず警察に相談し被害届を検討するケースも少なくありません。しかし、いざ被害届を出すとなると警察の対応やその後の流れについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、被害届が出された後に警察がどのような対応を行うのか、また被害届の取り下げが可能かどうかについて詳しく解説します。

被害届が受理された後の警察の基本対応

被害届が警察に受理されると、まず警察は事件性の有無を確認するため、証拠や関係者からの聞き取りを開始します。これは「内偵捜査」とも呼ばれ、加害者に連絡を取る前段階で行われることが多いです。

たとえば、預金記録やLINEのやり取り、音声データなどが提出された場合、それを精査したうえで、事件性があると判断されれば加害者側にも接触が始まります。

加害者側への対応と取り調べの可能性

警察が事件性を認めた場合、加害者(この場合は身内の兄弟)への任意の事情聴取が行われます。任意とはいえ、警察署への出頭を要請されるケースが多く、黙秘権もあるものの、説明を求められる場面です。

具体的には、「◯月◯日に現金◯万円を葬儀費用として預かったが、使途が不明」といった内容について説明を求められ、説明が曖昧だったり矛盾があったりすれば、さらに詳しい調査が進みます。

兄弟間トラブルでも立件の可能性はある?

一般的に、家族や兄弟間の金銭トラブルは「民事不介入」とされる傾向にありますが、明確な詐欺の構成要件(故意と欺罔行為)が認められれば刑事事件として扱われることもあります。

たとえば、「使っていないと話していた葬儀費用を、実は私的に流用していた証拠がある」といった場合、詐欺罪の構成要件を満たすと判断される可能性が高くなります。ただし、検察が起訴するかどうかはまた別問題で、不起訴となる場合もあります。

被害届の取り下げは可能か?

結論から言えば、被害届は受理された後であっても取り下げることが可能です。ただし、すでに捜査が進んでいる場合や事件が検察に送致されている段階では、単なる取り下げだけで捜査が止まるわけではありません。

取り下げの意志を伝える場合には、警察署に出向いて「被害届取下書」などの文書を提出することが一般的です。なお、取下げにより人間関係が改善するとは限らないため、慎重な判断が求められます。

警察が証拠をどこまで集めるのか

警察は提出された証拠だけでなく、必要に応じて追加で証拠収集を行います。たとえば、金融機関への照会、関係者への聞き取り、契約書類の確認など、被害届に基づいて調査範囲が広がることがあります。

ただし、被害届の内容や証拠の説得力が弱いと判断されれば、捜査が行われない、または形式的な対応にとどまることもあります。そのため、できるだけ具体的で客観的な証拠を揃えてから警察に相談することが重要です。

まとめ:身内トラブルで被害届を出す際に考えるべきこと

身内間の金銭トラブルであっても、被害届が受理されれば警察は一定の捜査を行います。加害者側に事情聴取が行われる可能性があるほか、場合によっては刑事事件として立件されることもあります。

ただし、感情的になって被害届を出す前に、証拠の有無や相手との関係、今後の影響も含めて総合的に判断することが大切です。必要であれば弁護士や法律相談窓口を活用し、冷静に対応するよう心がけましょう。

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