食品業界での表示ミスは、時として大きなトラブルにつながるリスクを持っています。特に「国産」や「外国産」といった産地表示のミスは、消費者の信頼を大きく揺るがしかねません。本記事では、スーパーなどで起こり得る“産地ラベルの貼り間違い”について、法的リスクや過失との関係、今後の対策などを詳しく解説します。
食品表示における産地の重要性
消費者庁の「食品表示法」により、一定の生鮮食品については原産国の表示が義務付けられています。特に牛肉や豚肉などは「国産」「アメリカ産」「オーストラリア産」など明記しなければなりません。
この表示は消費者の選択に大きく関わる要素であり、誤って表示した場合、販売業者は「不当表示」に該当する可能性があります。
産地の誤表示は“偽装”になるのか?
意図的でないミス=偽装ではありません。法的に“偽装”とみなされるのは、悪意をもって虚偽表示を行い、消費者を欺いた場合です。今回のように、パートタイマーが誤ってシールを貼った場合は「過失による表示ミス」に該当し、偽装行為とは扱われません。
しかしながら、結果的に誤表示が販売された場合は、事業者責任として「是正命令」「行政処分」の対象になり得るため、注意が必要です。
従業員個人の責任はどうなるのか
基本的に、表示ミスに関する責任は事業主に帰属します。バイトやパートなどの個人が刑事責任や損害賠償を問われることは、通常ありません。
ただし、重大な過失(例:何度も同様のミスを繰り返す、注意を無視するなど)があった場合には、懲戒処分や就業上の指導がなされることはあります。
営業停止の可能性はあるのか?
仮にミスが開店後に発覚し、誤って販売された場合、管轄の保健所などから指導や勧告、最悪の場合には販売停止や営業停止処分が出ることもあります。
しかし、今回のように開店前に気づいて訂正された場合は、法的リスクは非常に低く、内部管理体制の改善が求められるに留まる可能性が高いでしょう。
再発防止に向けた実務的な対策
- 二重チェック体制の導入(品出し前のラベル確認)
- 「国産」「輸入」の色分けラベルでの識別
- 新人教育での注意点の周知徹底
- 誤表示が発生した際の記録と報告ルールの整備
こうした対策を講じることで、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。
まとめ:過失は罪にならないが、“信頼”は守るべき
産地ラベルの貼り間違いは、意図がない限り「偽装」とはみなされません。ただし、企業としては「表示の正確性」が信頼に直結するため、再発防止策の徹底が求められます。
現場で働く皆さんも、自身が“信頼の最前線”にいるという意識を持ち、業務にあたることが重要です。法律だけでなく、消費者との信頼関係を守る姿勢が今後ますます問われる時代になっています。