App Storeのレビュー欄に本名が無断掲載されている場合、それはプライバシー権の侵害に当たる可能性が高く、慰謝料請求や投稿削除の法的根拠があります。本記事ではその具体的な手順と注意点を詳しく解説します。
プライバシー権侵害とは？基本的な考え方
プライバシー権は「個人に関する情報をみだりに第三者に公表されない自由」であり、本名もこれに含まれます。公開されて不快感を伴う場合には侵害が成立する可能性があります。
裁判例でも、本名や前科など私的情報の無断公開によって慰謝料が認められた事例があります。最高裁でも「みだりに公表されない利益」が保護対象とされました。
慰謝料請求は可能？相場はどれくらい？
慰謝料は民法709条の不法行為を根拠として請求可能です。本名の無断公開だけでも精神的苦痛があれば対象となります。
相場は10万～50万円程度が一般的で、悪質な場合は100万円超になることもあります。沢山の人に長期間公開された場合や投稿者の悪意が強い場合は増額の可能性があります。
具体的な対処の流れと事例
まずはスクリーンショットを保存し、投稿削除を運営元（Apple）に依頼します。削除拒否や無視があれば法的手段へ進みます。
投稿者が匿名でも、発信者情報開示請求によりIPアドレスを取得、プロバイダを経由して氏名や住所を特定する方法があり、弁護士に依頼するのが一般的です。
具体的な相談・申請手順（例）
1. Appleに削除依頼を提出
2. 拒否された場合、裁判所に発信者情報開示の仮処分申請
3. IP開示 → プロバイダ→投稿者特定→慰謝料請求
名誉毀損との違いと合わせて検討すべきポイント
プライバシー権侵害は私的情報の公開が対象ですが、名誉毀損は虚偽の内容で社会評価を低下させる行為です。両方で請求できるケースもあります。
本名掲載が事実そのものならプライバシー侵害。事実を誇張・歪曲された場合は名誉毀損も併せて検討すると有利です。
弁護士への相談と費用目安
投稿者の特定や削除、慰謝料請求には専門的知識が必要ですので、ネットトラブルに強い弁護士に相談するのが得策です。
仮処分には着手金20万円・報酬15万円程度、訴訟まで進むとさらに数十万円かかるケースが一般的です。
まとめ
App Storeのレビューに本名が無断掲載されている場合、プライバシー権侵害として慰謝料請求や削除請求が可能です。まずはスクリーンショットの保存とAppleへの削除依頼、その後、投稿者が特定できる環境であれば発信者情報開示請求から弁護士へ相談し、名誉毀損も併せて検討しながら慰謝料請求へ進む流れが推奨されます。