三菱UFJ銀行の元行員が金融商品詐欺で4,000万円をだまし取った事件は、2009~2016年の犯行とされ、刑事上は時効を迎えた可能性があります。本記事では、詐欺罪の刑事・民事の時効制度や銀行の対応、そして三菱UFJ銀行の定年制度に関する最新動向をわかりやすく整理します。
詐欺罪の刑事上の時効(公訴時効)とは
刑事事件では、詐欺罪の時効は公訴時効7年です。これは、被害者から金品を受領した「既遂行為」からカウントされ、公訴提起されなければ検察は起訴できません。実際、この元行員の事件も2016年までであり、7年経過すれば起訴はできなくなります。
ただし、犯人が海外逃亡や逃亡中の場合、時効の進行は停止し、その分延長されます。今回のように国内にとどまっていれば、原則として7年で時効成立です。
民事上の賠償責任とその時効
民事では、詐欺による損害賠償請求には2つの時効があります。
- 被害や加害者を知った時から3年
- 行為時から20年
この元行員の場合、銀行が補償し顧客に対して支払いを行った後、銀行が請求する形になっていますが、行為自体は2009〜2016年なので、2025年現在も原則として請求可能です。
また、銀行側が訴訟や催告を開始すれば、「時効猶予」や「更新」が発生し、時効がリセットされる可能性もあります。
銀行が被害補償後に取る対応と実例
銀行が顧客に補償した場合、通常は被害回復のために加害者(元行員)に対し債務返済を求めます。これは民事訴訟か和解で解決されるケースが多く、最終的に被害額の返還や分割返済で合意されるケースもあります。
例えば、過去の金融機関の事例では、「返還義務を認める合意書の締結+分割支払い」で和解したケースもあり、今回も同様の対応となる可能性は高いでしょう。
三菱UFJ銀行の定年制度──現在は再雇用で70歳まで検討中
三菱UFJ銀行グループの定年は基本的には60歳。その後は65歳までの再雇用制度があります。
加えて最近では、三菱UFJ信託銀行が60歳定年後に希望者を70歳まで再雇用できる制度を2024年10月から導入しています。今後グループ全体に広がる可能性もあります。
まとめ
この案件に関しては、刑事責任(詐欺罪)は既に時効で問えない可能性が高いものの、民事責任(損害賠償請求)はまだ可能であり、銀行側による補償後の回収交渉もありえます。
また、この元行員の年齢69歳という点では、三菱UFJ銀行グループには再雇用制度があり、今後70歳まで働ける可能性もある状況です。
詐欺による資金被害や銀行の対応、定年延長制度について理解するうえで、本件は教訓となる事例です。