交通事故に遭い、通院を続けても症状が改善しない場合、「後遺障害」の申請を検討することになります。特に歩行者として事故に遭った場合、車との事故よりも有利になるといった話も見聞きすることがあるかもしれません。本記事では、歩行者か乗車中かによる後遺障害認定の違いと、申請に向けて知っておくべき基礎知識を詳しく解説します。
後遺障害の認定とは何か
後遺障害とは、交通事故後に一定期間治療しても症状が回復せず、身体に残ってしまった障害のことです。自賠責保険や任意保険の補償の対象となるには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。
認定は、自賠責保険を管轄する損害保険料率算出機構によって行われ、1級〜14級までの等級に分類され、それぞれに応じた慰謝料や逸失利益が支払われます。
歩行者か車両同乗者かで違いはある?
基本的に、後遺障害の認定基準は「事故の態様」ではなく「傷病の医学的証明」に基づいて判断されます。つまり、歩行者でも自転車でも、バイクでも車の同乗者でも、等級認定の仕組みや要件は共通です。
ただし、事故の状況(歩行者 vs 車)によっては、「非該当」を回避しやすい傾向があります。たとえば、事故の衝撃の大きさが想定しやすいこと、被害者側に過失がないことが多いため、信憑性が高いと判断されやすいことが理由です。
軽症でも後遺障害等級認定は受けられる?
「軽症」とされる症状でも、後遺障害が認められるケースがあります。特に通院が6ヶ月以上にわたり、症状固定後も痛みやしびれが残る場合は、等級認定(特に14級9号や12級13号)を得られる可能性があります。
例:頸椎捻挫や腰椎捻挫による神経症状(むちうち、しびれなど)は、医学的証明が可能であれば認定されやすいです。MRI所見や神経学的検査の結果が有利に働くことがあります。
後遺障害の申請手続きとタイミング
後遺障害の申請は、通常「症状固定」後に行います。これは「これ以上治療しても回復の見込みがない」と医師に判断されたタイミングです。
申請の方法は2種類。
- 事前認定:加害者側の保険会社が手続きを行う
- 被害者請求:自分で書類を集めて申請する
被害者請求の方が有利になるケースも多く、納得のいく資料を自分で準備できるメリットがあります。迷ったら専門の弁護士や行政書士に相談するのがベストです。
後遺障害申請時の注意点と準備
後遺障害の申請において、重要なのは「医学的な証拠」と「一貫した症状の訴え」です。
- MRIやレントゲンの画像で異常が確認できる
- 通院期間が6ヶ月以上で治療が継続している
- 医師の診断書に症状が明記されている
- 整骨院だけでなく整形外科にも通院している
整骨院のみの通院では、医学的証明として弱いと判断されることがあります。
まとめ:歩行者でも車同乗でも判断基準は「医学的証明」
歩行者として事故に遭った場合でも、後遺障害の認定基準は「車に乗っていた場合」と同じです。歩行者だから有利になるというよりも、事故態様の明確さや非過失性から、信頼性が高く評価されやすい傾向にあると言えるでしょう。
申請を迷っているなら、現在の症状や診断内容をもとに一度専門家に相談することをおすすめします。後遺障害の認定は、今後の補償に大きく関わる大切なステップです。