美容医療が身近になり、月額定額制（サブスクリプション）サービスを導入するクリニックも増えてきました。しかし、サービス内容や特典の提供に不透明さがある場合、利用者としては困惑することも少なくありません。この記事では、美容皮膚科のサブスク特典トラブルに巻き込まれた場合の対処法や法的な観点からのアドバイスを解説します。
サブスク契約の基本と特典の位置づけ
一般的に、サブスク契約には「毎月の一定料金で定められたサービスを受けられる」内容が記載されています。美容皮膚科における特典は、契約書や利用規約に「無料」や「任意提供」と明示されていることが多く、これによりトラブル時の対応が分かれます。
特典が「無料サービス」として記載されていても、実際にはそれが月額料金に含まれる実質的な対価である場合、未提供に対して返金や補償を求める余地があります。特に、広告や公式説明で「サブスクに含まれる特典」と明記されているかが重要な判断材料です。
契約書・規約の確認が第一歩
まず確認すべきは契約時に交わした「契約書」または「利用規約」です。特典の頻度や内容、提供できない場合の対応などが明記されていれば、それに基づいて交渉が可能です。
例えば、「月1回の特典施術付き」と記載されているにも関わらず、それが数ヶ月提供されなかった場合、契約不履行として減額や返金を求める理由になります。逆に、「特典の提供はクリニックの裁量による」と書かれていれば、法的に主張するのは難しくなる可能性があります。
実際にあった事例と対応の工夫
ある女性は月額1万円の美肌サブスクを契約していたにもかかわらず、機械の不調などを理由に3ヶ月間特典を受けられませんでした。そこで過去の案内メールや契約内容を保存していた証拠をもとに交渉したところ、1ヶ月分の料金が返金されました。
また別のケースでは、サービス未提供の申し立てが認められず、解約に至った例も。契約当初に何をどう説明されたのか、どんな資料を保持しているかが重要になります。
泣き寝入りを避けるために取るべき行動
まず、書面でのやり取り（メールや公式LINEなど）を記録しておきましょう。電話口での対応や口約束だけでは、後に証拠として扱いにくくなります。
次に、相手方（クリニック）に丁寧な言葉で問い合わせ、文書やメールでの回答を得るようにしましょう。その上で消費生活センターへの相談や、必要に応じて行政書士や弁護士への相談も検討すると安心です。
美容クリニック側の注意義務と法的責任
たとえ「特典は無料」と表示していても、広告や案内に繰り返し記載されていた場合、特定商取引法や景品表示法の観点から問題になることがあります。提供を前提に契約を結んだのであれば、義務として扱われる可能性があります。
また、特典を受ける前提で契約していたことが立証できれば、「債務不履行」や「不当利得」として民法上の請求が可能なケースもあります。
まとめ：不誠実な対応には冷静に備えよう
美容皮膚科のサブスクトラブルでは、まず契約内容の確認、証拠の保存、文書での対応が鍵です。泣き寝入りを避けるには、クリニックの対応に納得できない場合、消費者生活センターへの相談を検討することも有効です。
美容医療に限らず、定額サービスを利用する際には「何がいつ、どのように提供されるか」をきちんと確認しておきましょう。信頼できるクリニック選びと、継続的な記録がトラブルを未然に防ぐ鍵になります。