亡くなった親の預金相続で家族関係が複雑な場合の対処法と選択肢

親が亡くなった後、相続の手続きが必要になりますが、兄弟姉妹との関係や過去の事情が影響し、スムーズに進まないケースも少なくありません。特に、関係が希薄な親族や疎遠になっていた相続人が関係してくると、感情面での葛藤が起こることがあります。今回はそういったケースにおいて、どのように法的に、また現実的に進めていけるかを解説します。

法定相続人と相続分の基本

相続人が直系尊属や配偶者以外の場合、兄弟姉妹やその代襲相続人(例えば亡くなった姉の子ども)が法定相続人になります。代襲相続は民法で定められた正当な権利であり、たとえ20年以上音信不通だったとしても、その相続権は消滅しません。

今回のように、姉妹3人のうち1人(次女)が他界していても、その子どもが2人いれば、それぞれ1/6ずつの相続権を持つことになります(母の預金全体の1/3を子ども2人で分ける形)。

相続放棄の可能性と交渉の余地

相手に相続放棄を求めることは可能ですが、法的な強制力はありません。また、放棄には家庭裁判所での手続きが必要となり、単に「放棄する」と口頭で言っただけでは無効です。実際に放棄してもらうには、誠実な説明と交渉が不可欠です。

弁護士は、依頼人の意向に沿って交渉を進めることはできますが、法に反する提案や圧力は行えません。そのため、「できる限り相手に放棄してもらえるよう交渉してほしい」という希望を伝えた上で、相手の対応を待つ流れになります。

金額が少ない場合の判断と選択肢

「金額が少ないから放置したい」という考え方も一つの選択ですが、口座はそのまま凍結され続け、他の相続人が動いた場合には影響を受ける可能性があります。また、一定年数が経過すれば「休眠預金」となり、公共団体に移管されることもあるため注意が必要です。

そのため、たとえ少額でも今のうちに整理しておくことが、後々のトラブルを防ぐことに繋がります。手続きにかかる費用や時間も勘案し、「相続放棄されなかった場合は全員で分ける」「放棄してもらえたら配分を見直す」など、現実的なシナリオを立てておくとよいでしょう。

心情と法律の間で迷ったら

相続に関する悩みの多くは「法的には正しいが、感情的に納得できない」ことに起因します。こうしたケースでは、法律相談だけでなく第三者的なアドバイス(家族信託専門士や遺産整理アドバイザーなど)も役立つことがあります。

また、感情面の整理を含めて、弁護士に「気持ち的には納得いかない」と伝えることで、法律的な選択肢の中から柔軟な対応策を模索してくれることもあります。

まとめ:冷静な判断と弁護士との連携が鍵

家族との関係性が複雑な中での相続は、非常に繊細でストレスの多い問題です。しかし、法律の仕組みを理解し、弁護士と正直に向き合うことが解決の第一歩です。

相続放棄は強制できないが交渉は可能。金額の多寡に関わらず、次のステップを考えることが後の後悔を防ぐことに繋がります。次回の相談までに、自分の希望と妥協できるラインを明確にしておくとよいでしょう。

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