「兄はすでに他界していて子どもは自分だけ」と思っていても、実は亡き兄の子どもが相続に関与するケースがあります。この記事では、相続でよく問題となる「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」についてわかりやすく解説します。
代襲相続とは?基本から押さえよう
相続は、亡くなった方(被相続人)の財産を法定相続人が受け継ぐ制度です。そして、その法定相続人となるべき人がすでに亡くなっている場合に、その人の子どもが代わりに相続する仕組みを「代襲相続」と言います。
たとえば、父が亡くなり、本来ならその子どもである兄とあなたが相続人になるところ、兄がすでに亡くなっているときは、兄の子ども(あなたの甥・姪)が相続権を代わりに引き継ぐことになります。
兄が死亡していた場合、甥や姪は相続人になる?
はい、なります。兄がすでに死亡している場合、その子である甥や姪は代襲相続人として相続権を持ちます。これは民法887条に定められている制度です。
離婚して疎遠になっていたとしても、法律上は親子関係が切れていない限り、相続権は有効です。たとえ35年以上連絡がなくても、戸籍上の関係がある限り無視できません。
相続の具体的な割合はどうなるの?
例えば、父の子どもが2人(あなたと亡き兄)で、兄が死亡していた場合、あなたと兄の子どもたちが法定相続分を分ける形になります。兄の法定相続分(1/2)を、その子ども2人が1/4ずつ相続するイメージです。
よって、あなたは全体の1/2を相続し、残りの1/2を兄の子2人が分け合う、という割合になります。
相続放棄や連絡が取れない場合の対処法
兄の子どもが相続放棄をする場合、家庭裁判所で正式に手続きする必要があります。放棄すればその人は最初から相続人でなかったことになります。
一方で、連絡が取れない場合や意思確認ができない場合は、「不在者財産管理人」の選任など、法的手続きが必要になることもあります。相続が滞る原因にもなるため、早めの対処が求められます。
実際の相続手続きで注意したいポイント
・被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、法定相続人を全員確定する
・兄の子どもたちの現在の所在や意思を確認する
・相続人全員で遺産分割協議を行う
・代襲相続が関わる場合、専門家(司法書士や弁護士)に相談するのが安心
相続手続きは思っている以上に戸籍や関係者の確認が煩雑で、放置するとトラブルにつながりかねません。
まとめ
・兄が死亡している場合でも、その子ども(甥・姪)は代襲相続人として相続権があります。
・長期間疎遠でも、法的な親子関係があれば無視できません。
・兄の子どもが2人いれば、兄に与えられる相続分を2人で分け合います。
・手続きは煩雑なため、早めに相続関係を確認し、必要なら専門家に相談しましょう。
実家の相続は、思い込みではなく法律に基づいて進めることが重要です。