街中でタクシーを利用する中で、自動ドアが隣の車に接触するという小さな事故が発生することがあります。このような場面で、乗客としての自分に責任が及ぶのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、タクシーのドアによる接触事故に関する責任の所在や対応方法を、法律や実例をもとにわかりやすく解説します。
自動ドアを操作するのは誰か?責任の前提
タクシーの多くは運転手が手元のレバーやスイッチでドアを開閉します。つまり、乗客はドアに直接触れることなく乗り降りできる構造です。したがって、ドアを開けたことによる事故の直接的な操作責任はタクシー会社側にあるのが通常です。
国土交通省のガイドラインでも「タクシー事業者は安全運行と事故防止に努めること」が定められており、乗客に過失がない限り賠償責任を問われることはほぼありません。
事故が起きた場合の一般的な対応と保険
自動ドアが隣接車両に接触した場合、タクシー会社が加入している任意保険(対物保険など)で対応されるのが一般的です。乗客には特別な対応を求められることはなく、ドライバーが事故の報告・謝罪・対応を行うことになります。
実際の対応例。
- 相手方へ連絡先の提示(タクシー会社名、運転手名など)
- 保険会社とのやりとりは運転手または会社が行う
- 乗客はそのまま目的地まで移動可能
乗客に過失があるとみなされるケース
ただし、乗客が勝手にドアを開けた、または無理に開けようとしてドライバーの制御を無視したなどのケースでは、過失とみなされる可能性もあります。
そのような場面では、民法上の「共同不法行為」として一部賠償責任を問われることもゼロではありませんが、稀なケースです。通常の状況で、運転手が操作したドアが他車にぶつかった場合、責任はあくまでも事業者側にあると考えられます。
示談や警察への通報は必要か?
傷が軽微であれば、当事者同士の話し合い(示談)で済ませることもありますが、基本的には以下のように進めます。
- 相手の車に明確な傷が残っていれば、警察へ届け出を行い事故証明を取る
- タクシー会社が責任を持って対応する旨を相手方に説明
- 乗客は特段の事情がなければ同席の必要なし
乗客として、相手方に名前や連絡先を求められた場合でも、拒否することができます。あくまで責任主体はタクシー会社であるという点を強調しましょう。
タクシー利用時にできる安全配慮
トラブルを未然に防ぐため、乗降時には以下のような配慮が有効です。
- ドアが開く際、周囲の車両との距離を確認
- 狭い場所での乗降時は、ドライバーに声をかける
- 開閉時に物音がした場合はすぐに運転手へ伝える
ほんの少しの注意が、事故防止やトラブル回避に役立ちます。
まとめ:責任は基本的にタクシー事業者側
タクシーの自動ドアによる事故については、乗客がドア操作に関与していなければ責任を負うことはほとんどありません。事故が発生した場合も、保険や会社の対応で処理されるのが通常です。
とはいえ、事故現場に立ち会った際は、運転手が責任を持って対応しているかを確認し、必要に応じて連絡先を記録しておくと安心です。