交通事故に巻き込まれたとき、被害者としてできること・すべきことを知っておくことは、今後の対応や補償に大きな差を生みます。特に、物損事故として処理されたケースを人身事故に切り替えるべきか、弁護士特約を使って相談すべきか悩む方は多いでしょう。本記事では、事故後に考えるべき対応と、補償に関わる実務的なポイントを詳しく解説します。
物損事故から人身事故への切り替えは可能か?
交通事故当時は動揺して「とりあえず物損で」と処理する人は少なくありません。実は、物損事故を後から人身事故に切り替えることは可能です。ただし、いくつか条件があります。
- 診断書を警察に提出する(事故日から15日程度が目安)
- 治療を継続していること(事故との因果関係が明確)
2週間程度であればまだ受理される可能性がありますので、速やかに警察へ「人身事故への切り替え希望」を申し出ましょう。
人身事故と物損事故で何が違うのか?
人身事故に切り替える最大のメリットは、慰謝料や休業損害などの「人に対する補償」が受けられる点です。物損事故では車の修理代や物品の弁償だけが対象ですが、人身事故では以下のような費目が追加されます。
項目 | 物損事故 | 人身事故 |
---|---|---|
治療費 | △(対応しない保険も) | ○ |
通院慰謝料 | × | ○ |
休業損害 | × | ○ |
後遺障害慰謝料 | × | ○ |
「そこまで大きな怪我ではない」と感じても、後で痛みが長引いたり、通院回数が増えたりする可能性もあるため、人身事故として記録しておくことは重要です。
弁護士特約の活用はいつ?どんなとき?
弁護士特約は、保険契約に付帯していることが多く、事故対応で非常に有効な手段です。費用は300万円まで保険会社が負担し、以下のような場面で役立ちます。
- 保険会社との慰謝料交渉
- 過失割合の争い(本件では過失10:0ですが念のため)
- 治療の打ち切りを迫られたとき
- 後遺障害認定への異議申し立て
特に相手の保険会社からの対応に納得がいかない場合や、保険会社が早期に治療費の打ち切りを打診してきた場合などには、弁護士に交渉を依頼することで心理的負担も軽減できます。
人身事故に切り替える際の注意点
人身事故に切り替えるには、医師による診断書(警察様式)を提出する必要があります。すでに診断書を取得している場合は、それを持参して警察署に相談しましょう。
また、保険会社にも人身切り替えを報告する必要があります。多くの場合、治療費の請求手続きが開始されますので、病院で「自賠責請求用の明細」を出してもらいましょう。
実際の流れと想定される補償例
想定例:整形外科での通院が週2回で3ヶ月続いた場合、以下のような補償が期待されます。
- 通院慰謝料:約26万円〜30万円(自賠責基準)
- 治療費:実費(保険会社が直接病院に支払い)
- 通院交通費:公共交通機関やタクシー代など
- 休業損害:パート・アルバイトでも対象
つまり、「軽傷」と思えるケガでも、人身事故への切り替えで数十万円の補償を受けられるケースがあるのです。
まとめ:後悔しないための適切な手続きと相談
交通事故で物損事故として処理してしまった後でも、人身事故への切り替えや弁護士特約の活用は可能です。軽いけがであっても、長引く痛みや後遺障害の可能性を見越して、適切な対応を取ることが後々の後悔を防ぐカギになります。
まだ診断から2週間以内であれば、人身事故への切り替えは十分に間に合います。迷った場合は弁護士特約を活用し、プロの視点で進めることをおすすめします。