任意整理は債務整理の一種として、多くの人が債務の負担軽減を目指して利用しています。しかし、手続き開始後に「整理対象の債権者を変更したい」といった事情が発生することもあります。この記事では、任意整理中に債権者の変更は可能なのか、またその際の注意点について実例を交えて解説します。
任意整理における債権者変更は可能か
結論から言えば、任意整理手続きの初期段階であれば、債権者の変更は基本的に可能です。たとえば「3社から2社に変更したい」といった要望も、交渉前であれば多くの弁護士が対応してくれます。
ただし、すでに弁護士が通知を送って交渉を始めている場合には、変更が難しくなることもあります。債権者に通知が届くと法的には交渉がスタートしたと見なされるためです。
なぜ任意整理中に変更したくなるのか?
任意整理の対象から除外したい理由には、たとえば以下のようなケースがあります。
- ペイディやスマホ端末購入など、返却義務が発生する契約が含まれていた
- 家族の名義を含んでいたため、影響を避けたい
- 支払継続の方がメリットが大きいと判断した
とくに「ペイディでiPhoneを購入し、整理対象にすると端末を返却しなければならない」という事例は実際に多く報告されています。
変更手続きの具体的な流れ
債権者の変更を希望する場合、まずは契約している弁護士に連絡し、事情を説明しましょう。多くの弁護士は初期の段階であれば「了解しました」とスムーズに対応してくれます。
その後、弁護士側は修正した委任契約書の作成や、整理対象の見直しを行い、正式に再交渉の準備を進めます。
変更によるリスクと注意点
債権者の除外により、除外された業者からは通常通り請求や督促が来るようになります。分割払いや遅延の交渉を個別で行う必要もあるため、「整理対象外=免除される」というわけではない点に注意が必要です。
また、整理する債権者が減ることで毎月の返済額が変動する場合があります。再計算後のスケジュールと負担額も必ず確認しましょう。
非対象にした債務の対処方法
対象外にした債務に関しては、元の契約通りの支払いに戻るのが基本です。支払いが困難であれば、直接業者と連絡を取り、リスケジュール(支払猶予や減額交渉)を試みることができます。
特に、スマホ分割代金など商品を伴う契約は「完済まで所有権が事業者側にある」ケースがあるため、放置すると端末の返却や強制停止のリスクがあります。
まとめ:任意整理中の債権者変更は早めの相談がカギ
任意整理における債権者の変更は、タイミングと手続きの透明性が重要です。交渉開始前であれば柔軟に対応可能なことが多いため、事情が変わった場合はすぐに弁護士に相談することをおすすめします。
また、除外した債務についても計画的な返済が求められます。生活再建を目指すうえで、自分にとって最適な債務整理の形を見極めることが大切です。