翻訳された童話に著作権はある?翻訳と著作権の意外な関係をやさしく解説

昔話や童話など、著作権の切れた海外作品を扱う際に「翻訳された文章には著作権があるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、翻訳と著作権の関係について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。

原作の著作権と翻訳の著作権は別物

まず基本として、著作権の保護期間が終了した作品(パブリックドメイン)は自由に利用可能です。例えば、アンデルセン童話やグリム童話の原文などはすでに著作権が切れています。

しかし、その原作を誰かが翻訳した場合、その翻訳文には翻訳者の著作権が発生します。翻訳は「翻案権」の一種として、翻訳者の創作的表現が含まれるからです。

具体例:『赤ずきん』の翻訳の場合

グリム童話の『赤ずきん』の原作はパブリックドメインです。誰でもドイツ語の原文を自由に使えます。しかし、A出版社が独自に翻訳して出版した日本語訳の文章は、その出版社または翻訳者に著作権があります。

例えば、「森の中で赤ずきんは優しいおばあさんと出会いました」という訳文をそのまま使うと、翻訳者の権利を侵害する可能性があります。

自由に使える翻訳とは?

パブリックドメインの原作を元に自分で翻訳すれば、その訳文はあなたの著作物になります。その場合、他人の著作物を使っていないため、自由に公開・商用利用することができます。

また、一部の古い翻訳文や、著作権者が明示的に放棄している文章(例:青空文庫の一部翻訳)であれば、自由に使えるケースもあります。ただし、必ず「著作権の所在」を確認することが重要です。

翻訳の著作権の保護期間

翻訳者に著作権が発生した場合、その保護期間は翻訳者の死後70年です。翻訳文の著作権が切れていなければ、利用には著作権者の許可が必要です。

たとえば、1950年に亡くなった翻訳者が訳した童話は2020年末で著作権が切れますが、それより後に亡くなった場合はまだ保護期間中ということになります。

まとめ:翻訳文の著作権に注意して童話を活用しよう

海外の童話原作がパブリックドメインでも、その翻訳文には著作権がある可能性があります。翻訳文を使いたい場合は、著作権の有無を必ず確認し、必要に応じて自分で翻訳を行うのが安全です。

創作活動やブログ運営などで童話を活用する際には、原作の権利と翻訳の権利を分けて考えることが、安心かつ合法な情報発信につながります。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール