国際空港は、海外からの人やモノが出入りする重要なゲートウェイです。そんな空港で違法薬物の所持が発覚した場合、特に外国人旅行者にとっては「どこの法律で裁かれるのか?」という点が非常に気になるところです。本記事では、日本国内で発覚した麻薬関連の犯罪について、どのような法体系で裁かれるのか、そして実際の処罰事例なども交えてわかりやすく解説します。
日本国内での犯罪は日本の法律が適用される
外国人であっても、日本国内で犯罪を犯せば、日本の法律が適用されます。これは「属地主義」と呼ばれる原則で、日本の刑法第1条にも「日本国内において罪を犯した者には、日本の法律を適用する」と明記されています。
たとえば、成田空港や関西国際空港で麻薬を所持していた場合、それが入国前でも日本の管轄内に入っているとみなされ、日本の麻薬取締法や関税法違反などが適用されます。
麻薬犯罪に対する日本の厳罰化と刑罰の実態
日本では麻薬類に対して非常に厳しい取り締まりを行っており、覚醒剤取締法違反・麻薬及び向精神薬取締法違反・大麻取締法違反などが適用されます。
実際には、初犯でも懲役数年+執行猶予なしの実刑判決が下されるケースが珍しくなく、外国人の場合はその後に強制退去処分が下されることもあります。
国際線・空港内での取り締まりの流れ
空港での麻薬摘発は、税関職員・麻薬探知犬・X線検査・事前情報の共有などによって行われています。特に日本では水際対策として、密輸の疑いがある人物は入国審査の前段階で別室に呼ばれ、身体検査や所持品検査を受けることがあります。
摘発された場合、その場で現行犯逮捕され、警察・検察の取り調べへと進みます。
相手国の法律はいつ関与するのか?
原則として、日本での犯罪は日本の法律で裁かれますが、被疑者の国籍国が外交的保護や支援を行う場合もあります。ただし、裁判そのものや刑の執行には直接影響しません。
一部のケースでは、外交ルートを通じて本国送還(身柄引き渡し)となる可能性もありますが、それはあくまで例外です。日韓、日米などの国同士で引き渡し条約を結んでいる場合には、それが適用されることもあります。
過去の実例|外国人の麻薬密輸事件のケーススタディ
2019年には、フィリピン国籍の女性が覚醒剤をスーツケースの底に隠して関空に入国しようとしたとして、麻薬取締法違反で懲役8年の実刑判決が出ました。判決後は日本国内の刑務所で服役し、その後に国外退去処分となりました。
また、2021年には南米からの便でコカインを体内に隠して持ち込んだ外国人が摘発され、懲役10年・罰金500万円の判決を受けています。
まとめ|日本国内での犯罪は国籍に関係なく日本の法律で裁かれる
空港という特殊な環境であっても、日本国内で犯罪が発生すれば、外国人であっても日本の法律が適用されるのが原則です。特に麻薬犯罪は厳罰対象であり、旅行者や滞在者は絶対に関わらないよう注意が必要です。
「知らなかった」では済まされないのが法の世界。海外旅行の前には、必ず訪問国の法律や取り締まり事情を理解しておきましょう。