夜の静けさの中でのジョギングは、ストレス発散や健康維持にぴったりの習慣です。しかし一方で、無灯火・逆走の自転車と遭遇することもあり、ヒヤリとする経験をした方も少なくありません。本記事では、そうした自転車と接触事故になった場合に請求できる損害賠償や、そもそも事故を避けるための対策について詳しく解説します。
無灯火・逆走自転車は道路交通法違反
まず前提として、自転車が無灯火で走行するのは道路交通法違反です。また、自転車が歩道を走ること自体が原則禁止であり、やむを得ず走行する場合でも徐行義務があります。さらに、進行方向に逆らっての走行(逆走)も禁止されています。
つまり、無灯火かつ逆走して歩道を走る自転車は、三重の違反状態にあるといえます。事故が起きた場合、こうした違反の有無は過失割合を大きく左右します。
実際に接触事故が発生した場合に請求できるもの
歩行者であるジョガーが自転車と接触し、怪我や衣類の破損など損害を被った場合、以下のような損害賠償を請求できる可能性があります。
- 治療費・通院費・通院交通費
- 衣類・シューズなどの物品損害
- 慰謝料(精神的苦痛に対する損害)
- 後遺障害が残った場合は逸失利益や後遺症慰謝料
ただし、請求を成立させるには加害者の特定と証拠の確保が不可欠です。相手が逃走したり身元が不明だと、損害賠償は事実上難しくなります。
「わざと当たる」のは絶対にNG
中には「いっそ当たってくれた方が得かも」と考える方もいるかもしれません。しかしこれは非常に危険な発想です。意図的に事故を誘発したとみなされれば、過失割合が逆転するどころか詐欺罪や恐喝未遂といった刑事問題に発展する恐れすらあります。
また、事故による身体的損傷は想像以上に深刻なケースもあり、自分の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。「当たってもらう」ことで得られるメリットは、実はほとんどないと言えるでしょう。
事故を防ぐために今すぐできる対策
自分の身を守るためには、できる限りの防御策を講じる必要があります。たとえば。
- 反射材付きのウェアを着用する
- ヘッドライトやアームバンドライトで自身の存在をアピール
- イヤホンやヘッドホンを避け、周囲の音をしっかり聞く
- 暗い歩道や狭い道を避け、車道側の広い歩道を選ぶ
特に反射材は、ドライバーや自転車利用者に自分の存在を知らせる手段として非常に有効です。
事故発生時の対応:記録と通報がカギ
万が一事故に遭ってしまったら、まずは怪我の有無を確認し、安全を確保した上で警察に通報しましょう。加害者の氏名や連絡先、車体番号、自転車の色や特徴なども記録しておくと有効です。
スマートフォンで現場の写真を撮っておくことも、後の証拠として役立ちます。可能であれば、事故を目撃した第三者の証言も記録しておきましょう。
まとめ:無灯火逆走自転車には毅然と、安全第一の対応を
無灯火・逆走の自転車によるリスクは非常に高く、夜間ジョギングをする人にとっては深刻な問題です。しかし「当たって得をする」ような発想は危険で、法律的にも倫理的にもリスクが大きすぎます。
事故を未然に防ぐ努力をしながらも、やむを得ず事故が起きた場合には、法的に正当な対応を冷静に行うことが大切です。自分自身を守るために、ライト装備と慎重な行動をぜひ心がけてください。