閲覧制限された情報は訴訟で使える?法律と証拠収集の実際

インターネットやSNSの利用が日常的になった現代では、個人が自らの投稿や情報に「閲覧制限」をかけるケースが増えています。では、仮にそのような閲覧制限された情報が訴訟に関係する場合、証拠として使用できるのでしょうか。本記事では、法律上の観点から、弁護士による証拠収集の可否や方法、訴訟への影響について具体的に解説します。

閲覧制限とは何か?基本をおさらい

閲覧制限とは、SNSやウェブサービスなどで特定のユーザーにしかコンテンツを見せないよう設定する機能のことです。たとえば、Instagramで「非公開アカウント」にする、Twitterで「鍵アカウント」にする、LINEで一部ユーザーをブロックするなどがこれに該当します。

これらの制限は、あくまでも「そのサービス内での表示制限」であり、法律的に「見てはいけない情報」となるわけではありません。ただし、取得方法によっては違法とみなされることがあります。

弁護士は閲覧制限された情報にアクセスできるのか

原則として、弁護士であっても一般ユーザーと同じく、閲覧制限された情報に自由にアクセスすることはできません。しかし、法的手続きを踏むことで、特定の情報にアクセスできる可能性があります。たとえば、裁判所の証拠収集命令を通じて、相手方のアカウント情報を提出させるなどの方法です。

実際に、名誉毀損や誹謗中傷に関する訴訟で、Twitterの鍵アカウントの投稿を証拠として提出するため、関係者がスクリーンショットを保管し、弁護士を通じて開示請求した例もあります。

証拠として認められるための条件

裁判で証拠として採用されるには、取得方法が合法であること、改ざんされていないこと、訴訟に関連性があることが求められます。スクリーンショットだけでは証拠として弱い場合もあり、投稿日時、アカウント情報、文脈などを含めて記録しておくことが重要です。

たとえば、LINEのやり取りを証拠として提出する場合には、トーク全体の流れが分かる画面キャプチャや、スマホの操作ログなども併せて提出することで、証拠能力が高まります。

閲覧制限が訴訟に与える影響とは

閲覧制限されていること自体が、訴訟を起こせない理由にはなりません。問題は「その情報を適切な方法で収集できるかどうか」です。相手の投稿が明確な違法行為であれば、裁判所の手続きによって証拠開示を求めることが可能です。

また、もし自分自身が被害を受けた立場であり、その情報を一度でも目にしていた場合は、自分で保存した情報を基に訴訟準備を進めることができます。閲覧制限は訴訟の障壁ではあるものの、絶対的な壁ではありません。

証拠保全のためにできること

問題のある投稿やメッセージに気づいたら、すぐに証拠保全を行うことが重要です。画面キャプチャ、ログの保存、第三者(信頼できる人)への共有、弁護士への相談などが考えられます。

また、内容証明郵便や証拠保全の仮処分申立てといった法的手段もあります。弁護士に相談すれば、証拠の取得方法についての適法性や、訴訟戦略について具体的にアドバイスを受けることができます。

まとめ:閲覧制限があっても法的対応は可能

閲覧制限された情報であっても、訴訟で使用できる可能性は十分にあります。重要なのは、違法にならない形で情報を記録・保全し、必要に応じて弁護士に相談することです。閲覧制限があっても、泣き寝入りする必要はありません。正しい知識と手続きを知ることで、法的に対応することが可能です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール