恋愛目的で始めたはずのマッチングアプリ。ところが、出会いの場を悪用した詐欺的なビジネス勧誘、いわゆる「デート商法」に巻き込まれるケースが後を絶ちません。特に若い世代の女性を中心に、初対面の“デート”を装って高額なジュエリーやエステ契約などを勧められる手口が問題視されています。今回は、実際に報告されている事例をもとに、デート商法の特徴、危険な兆候、そして未然に防ぐためのポイントを詳しく解説します。
そもそもデート商法とは?
デート商法とは、恋愛感情や好意を利用して相手を誘導し、高額な商品やサービスを契約させる悪質な販売手法のことです。特定商取引法で規制対象となる「訪問販売」や「連鎖販売取引」に該当するケースもあります。
この商法は相手に心理的なプレッシャーを与え、「あなたのことを思って紹介する」「将来の夢を一緒に応援してほしい」などの言葉を巧みに使って契約に誘導する点が特徴です。
実際にあったジュエリー販売型のデート商法
たとえば、以下のような流れがよくあるパターンです。
- マッチングアプリでマッチ → 毎日のようにLINEや電話
- 「そろそろ会おうか?」と話が進む
- 直前で「ジュエリーイベントがあるから来て」と誘導
- 「ファンになってほしい」「気に入ったら買って」などと販売目的を明かす
- イベント参加中に囲い込みやローン契約を進められる
断ると「応援してくれると思ってたのに」「夢を否定するの?」などと責めることで、罪悪感や義務感を植え付けます。これは明確に詐欺まがいの行為であり、強引な販売であればクーリングオフの対象にもなります。
よくある手口とその特徴
デート商法で用いられる商品やサービスには以下のようなものがあります。
- ジュエリー:店舗や展示会場に連れて行かれる
- エステ・美容サロン:初回体験後に高額コースを勧誘
- 自己啓発セミナー:信頼関係構築後に参加を提案
- 投資や副業:将来設計や夢を語ってからの勧誘
共通するのは、「恋愛をダシにして契約を取ろうとする」という点です。相手は最初から恋愛感情ではなく、営業目的で近づいてきている場合がほとんどです。
デート商法に引っかからないための見抜き方
以下のような兆候が見られた場合は注意が必要です。
- 出会ってすぐに「運命を感じる」「特別」と強調する
- LINEや電話で異様に密なコミュニケーションをとってくる
- 会う約束が「イベント」「展示会」「サロン」などに変更される
- 将来の夢や起業話をやたら語る
- 具体的な商品名や契約話が出始める
このような兆候があった場合は、どんなに好意があっても「一度冷静になる」ことが大切です。特に、断りにくい空気を作られている場合は、必ず誰かに相談しましょう。
もし参加してしまった場合の対処法
万が一イベントに参加してしまい、商品を買わされた・契約してしまったという場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリングオフが可能です(訪問販売や会場販売などに該当する場合)。
また、契約の強引さや不実告知があった場合には、特定商取引法に違反している可能性があり、国民生活センターや消費生活センター、弁護士などに相談することで取り消しが可能になることもあります。
まとめ:恋愛感情を利用する勧誘に要注意
マッチングアプリを通じての出会いには、夢やロマンだけでなくリスクも潜んでいます。特にデート商法のような恋愛感情を利用した悪質な勧誘は、若年層や恋愛経験の浅い人ほどターゲットにされがちです。強引な勧誘に違和感を覚えたら、無理に応じず、信頼できる人や専門機関に相談しましょう。安全な出会いを守るために、冷静な判断と自己防衛意識を持つことが何より大切です。