連絡が取れない相続人と遺留分請求の実務:対応策と注意点を徹底解説

遺産相続において、公正証書遺言がある場合でも、遺留分に関しては相続人の一部が法的に権利を主張できる可能性があります。特に、連絡が取れない相続人がいる場合には、手続きの進め方や対応の選択が悩ましい問題となります。本記事では、実際の事例にもとづき、連絡が取れない相続人がいる状況での遺留分請求や対応策について解説します。

遺留分とは何か?基本の整理

遺留分とは、民法で定められた「最低限相続できる権利」のことです。兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分の権利が認められており、たとえ遺言書が存在しても、それを侵害する内容であれば、遺留分侵害額請求が可能です。

たとえば、再婚相手との間に生まれた子が相続の対象で、前妻との子どもに対して一切の遺産を遺さなかった場合でも、前妻の子には遺留分請求権があるとされます。

連絡が取れない相続人がいる場合の対応

遺留分請求は「請求する人」が権利行使することで成立します。連絡が取れない、住所不明といった場合、まずは戸籍の附票や住民票、探偵調査などを通じて所在確認を行う必要があります。

それでも見つからない場合、公示送達という手続きを家庭裁判所に申し立て、法律上「通知をした」とみなす方法があります。

書留が返送されてしまう場合の対処法

書留郵便が届かずに戻ってきた場合は「受け取っていない=通知されていない」状態と判断されます。このままでは遺留分請求がされたことにもなりません。

そのため、何度か送付を試みた上で、行政書士や弁護士を通じて内容証明郵便の送付裁判所への手続き(公示送達)へ移行するのが一般的な対応です。

遺留分請求の時効と注意点

遺留分侵害額請求には「知ったときから1年以内」という時効が存在します。また、遺留分侵害があったときから10年が経過すると完全に権利が消滅します。

そのため、連絡が取れないからといって放置するのではなく、所在調査や通知手続きなど「こちら側の誠実な対応実績」を残しておくことが重要です。

行政書士が対応している場合の注意点

行政書士は相続書類の作成や簡単な調査は行えますが、法的措置や裁判所を通じた対応(公示送達など)は弁護士の業務領域です。

現在の対応に不安がある場合は、弁護士への相談を検討するのが適切です。特に500万円相当の遺留分が関わる場合には、専門家による法的判断が今後のトラブル防止に役立ちます。

まとめ:連絡が取れない相続人には法的措置も視野に

相続手続において連絡が取れない相続人がいる場合、まずは行政的調査、次に法的な手段として公示送達や不在者財産管理人の選任を行うなど、段階的に進めていくことが求められます。

「10年待たないといけない」といった情報もありますが、遺留分請求の観点からは1年以内の対応が必要であり、専門家への早めの相談が解決の鍵となります。

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