テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』で描かれるような、弁護士が自ら現場に出向いて調査を行う姿に「実際もあんな感じなの?」と疑問を持つ人も少なくありません。実際の弁護士の業務とドラマとの違い、そして現場調査のリアルについて、具体例を交えながら解説します。
刑事事件における弁護士の役割とは
刑事事件において、弁護士は被告人の権利を守る「弁護人」として活動します。取り調べに立ち会うことや、証拠開示請求、被告人や証人への聴取、さらには公判での弁論などが主な業務です。
被告の無罪を証明するために、弁護士自身が証拠収集や現場調査を行うこともありますが、それはあくまで例外的な対応で、一般的な日常業務ではありません。
現場調査を行う弁護士は実在する
実際に、冤罪の可能性がある事件や物証の矛盾が浮かんでいる場合、弁護士が現場に足を運ぶことがあります。たとえば、被害者の視認性、事件当時の明るさ、音の聞こえ方など、現場でしか確認できない情報を得るためです。
実例として、痴漢冤罪事件で弁護士が実際に駅のホームに立ち、当時の状況を再現・撮影して、裁判で無罪を勝ち取った事例も報告されています。
民間調査会社や専門家との連携
大規模な現場検証や物理的証拠の解析が必要な場合、弁護士だけでなく、民間の調査会社(私立探偵など)や専門家と連携することもあります。特に技術的・科学的分析が必要な証拠(車両の動線、防犯カメラ映像、音声など)は、専門機関の協力が不可欠です。
弁護士はそうした情報を総合的に精査し、法的根拠を持って裁判で主張を構築していきます。
ドラマとの違いと演出の側面
『99.9』のようなドラマはフィクションであるため、演出として弁護士の行動をより劇的に描いています。現実では、法的制限や時間・予算の都合もあり、弁護士が頻繁に現場を飛び回ることは少ないです。
ただし、現場を見ないまま証拠や供述を鵜呑みにするリスクを避けるため、実務でも「百聞は一見に如かず」の精神で現場を見る弁護士は少なくありません。
実際の現場調査の例
- 交通事故事件:現場交差点での死角確認、目撃者探し。
- 住居侵入事件:住宅の構造確認、防犯カメラの有無をチェック。
- 暴行・傷害事件:発生場所の照明・混雑状況・物理的距離などの検証。
これらの調査結果が、無罪主張の裏付けや刑の軽減につながることもあります。
まとめ|弁護士の現場調査は現実でも「ある」
ドラマのように華やかではありませんが、刑事事件において弁護士が現場に出向くことは実際に存在する業務のひとつです。ただし、全ての案件で必ずしも行われるものではなく、必要性や状況によって判断されます。
現場に行くことで得られる新たな視点が、依頼人の人生を左右する証拠となることもあるため、経験豊富な弁護士ほど慎重に、かつ柔軟に現地調査を取り入れているのです。