個人再生手続きは、債務者本人の経済的自立が求められる制度です。特に「家計を別にしている」という前提で進めている場合は、実際の生活状況や支出の透明性が重要です。本記事では、家族と同居しながら申請する際に注意したい金銭管理や支出の扱いについて、具体的に解説します。
個人再生で重要な「家計の独立性」とは
個人再生は裁判所の認可が必要な法的手続きであり、「債務者が今後も安定的に返済できること」が条件です。そのため、家族と同居であっても、家計が分かれていることを明確にする必要があります。
たとえば「光熱費や食費は家族持ち、収入の一部だけ家に入れる」といったケースでも、書類上は本人の支出として見なされる可能性があります。
家族への金銭的援助はどう扱われる？
月2万円を家族に振り込むという形は、援助または家賃・生活費負担の一部と見なされます。弁護士が「問題ない」と判断した理由は、この程度の金額であれば返済可能性に影響しないと考えたためでしょう。
ただし、振込が定期的かつ記録が明確に残っていることが大切です。また、1万円を週ごとに渡す方式に変更する場合は、「生活費として週払いしている」と明記することで正当性を説明しやすくなります。
食事の提供は「援助」になるのか？
食事を家族が用意していることについては、「家計を別にしている」建前に矛盾する可能性があります。申立書や家計表に記載する際、食費として現金で支払っているように見せる必要があります。
たとえば「週に1万円を生活費（食費含む）として支給」とすれば、裁判所も納得しやすい構成になります。
支出が少なすぎると個人再生は不利になる？
実際に支出が極端に少ないと、「生活が成り立っていないのでは？」と疑問を持たれ、家族から援助を受けていると判断される可能性があります。これは「申請内容に偽りがある」と見なされるおそれもあり、最悪の場合は再生計画が認可されないリスクもあります。
支出は現実に即した金額で記載することが重要であり、実際に使っていなくても、現金として支給している記録（家族が保管していたとしても）があれば問題になりにくいです。
実際のやり取りや疑念はどうすべきか
弁護士と申請者本人の間で行われている説明が不十分だったり、家族が納得できないケースも多く見受けられます。重要な部分については、可能であれば弁護士に同席の上で再度説明を求めることをおすすめします。
また、「1万円を別の目的で使っているのでは？」という疑念がある場合、支出メモやレシートの記録を取ってもらうように促すと、相互の信頼関係が保てます。
まとめ｜個人再生と家族生活のバランスを保つために
個人再生を成功させるには、本人の収支が自立しており、生活実態と申請内容に矛盾がないことが求められます。同居家族との関係が近いほど、その境界は曖昧になりがちです。
「家族からの援助ではない」と証明するには、支払の形や記録の残し方がポイントとなります。不安な場合は、弁護士に具体的な生活実態を詳しく相談することでリスクを減らすことができます。