「無料」と案内されていたセミナーやコンサルに申し込んだ後、キャンセルを申し出たら思わぬキャンセル料を請求された――こうしたトラブルは近年増加傾向にあります。特にビジネス系セミナーでは、参加後に個別コンサルや高額サービスに誘導されるケースも珍しくありません。本記事では、無料セミナー後にキャンセル料を請求された場合の法的な考え方や対応策について、実例をもとにわかりやすく解説します。
「無料」と書かれていた場合でもキャンセル料は発生するのか?
結論から言えば、契約内容に明確に記載されていない限り、無料セミナーや無料コンサルに対して一方的なキャンセル料を請求することは法的に問題となる可能性があります。特に、参加者に対してキャンセル料の説明や同意がなかった場合、その請求は無効とされる可能性が高いです。
たとえば、電話・Web・対面いずれの申込であっても、事前に「〇日前のキャンセルには〇円発生します」などの記載があったかが重要な判断ポイントとなります。
契約が成立しているかどうかが判断基準
キャンセル料が有効に発生するためには、通常「契約の成立」が必要です。つまり、セミナーやコンサルの内容・料金・キャンセルポリシーなどが明確に説明され、参加者がそれに同意したという事実が必要です。
今回のように「無料の4時間コンサル」と案内されていた場合、金銭的な契約関係が成立していない可能性が高く、キャンセル料が正当化されるには相当な根拠が求められます。
録音やメール履歴は重要な証拠になる
「セミナーでキャンセル料の説明はなかった」と感じる場合は、ボイスメモやセミナー中の録音が非常に有力な証拠になります。また、申込時やキャンセル時のメール・メッセージも、契約の有無や説明義務を確認する材料になります。
たとえば、実際に「セミナー内容を録音したが、キャンセル料については一言もなかった」と主張した事例では、消費者側の主張が認められたケースもあります。
キャンセル料請求に対応する際の注意点
仮にキャンセル料を請求された場合でも、すぐに支払わず以下の点を確認しましょう。
- キャンセル料の根拠となる契約書や案内資料があるか
- セミナーやコンサル中にキャンセル料について明確な説明があったか
- 説明内容に納得のうえで申込・同意したか
納得のいかない請求であれば、消費生活センターや国民生活センターに相談することも検討しましょう。
実例:キャンセル料請求に消費者が対応したケース
ある会社員のAさんは、「無料セミナー後の個別相談でキャンセルしたら5,000円請求されたが、説明も契約書もなかった」として支払わず対応。その後も追加請求は来なかったとのことです。
また別のケースでは、音声録音を証拠として業者に請求の取り下げを求めた結果、「誤解を招いた」として取り消された事例も報告されています。
まとめ:キャンセル料請求は説明と同意があって初めて成立
無料セミナーや無料コンサルのキャンセルに対して一方的にキャンセル料を請求された場合、それが有効かどうかは「説明の有無」と「同意の有無」が重要なカギとなります。
少しでも納得できない請求であれば、証拠を保全し、消費者保護機関に相談するなど、冷静に対応することが大切です。法的な支払い義務がない場合には、毅然とした態度で対応しましょう。