道路外出入車の定義と交差点直近での事故における責任割合の考え方

交差点付近での事故は、加害者と被害者の判断が非常に難しくなるケースが多いですが、特に「道路外出入車」の定義は事故責任を左右する重要な要素のひとつです。本記事では、駐車場などから道路に進入する車両が「道路外出入車」として扱われる条件と、交差点との距離が与える影響について詳しく解説します。

道路外出入車とは?定義と基本的な考え方

道路外出入車とは、コンビニや月極駐車場、ガソリンスタンド、住宅の出入り口など、「道路以外の場所」から公道に出入りする車両を指します。道路交通法上では、これらの車両には「優先道路に進入する際には一時停止・安全確認の義務」が課されており、基本的には通行中の車よりも責任が重くなります。

たとえば、月極駐車場から出てきた車が道路を直進中の車と接触した場合、基本的に駐車場から出てきた側の責任が重く見られるのが一般的です。

交差点直近における「10メートル」の意味

交差点から10メートル以内の場所にある駐車場や出入り口から出てきた車両が事故を起こした場合、それが「道路外出入車」として扱われるかどうかが争点になることがあります。

実務上、「10メートル以内かつ直後の交差点に進入する目的」であった場合でも、発進地点が私有地や駐車場であれば原則として道路外出入車と見なされることが多いです。ただし、事故が交差点内で発生した場合には、その地点での交通ルール(信号の有無、優先関係など)も判断材料となります。

物損事故における過失割合への影響

人身事故ではなく物損事故の場合でも、過失割合は損害賠償額に直結する重要な要素です。道路外出入車と直進車が衝突した場合、保険会社の認定では一般的に「道路外出入車8:直進車2」からスタートします。

しかし、衝突場所が交差点内であること、直進車が速度超過だったことなどがあれば、割合が修正される可能性もあります。詳細な状況証拠(ドライブレコーダー、現場写真など)が重要です。

判例と実例:駐車場出口と交差点の関係

ある判例では、「交差点の直前約7メートルの位置にある駐車場から出た車が交差点内で直進車と接触」したケースにおいて、裁判所は「道路外出入車の義務違反が優先される」として、進入側に大きな過失があると判断しました。

このように、駐車場から出て10メートル以内に交差点に入った場合でも、「道路外出入車」として扱われる可能性が高いことを示しています。

事故後の対応と確認すべきポイント

事故直後は、次の点を必ず確認・記録することが重要です。

  • 衝突位置が交差点内か外か
  • 加害車両の進入地点と道路との関係
  • 防犯カメラやドライブレコーダーの映像
  • 双方の速度や一時停止の有無

駐車場やコンビニからの進入であることが明確なら、その車両は道路外出入車として見なされる可能性が高いため、自身の主張に有利な情報をできるだけ確保しておきましょう。

まとめ:10メートル以内でも道路外出入車に該当する可能性あり

✔ 駐車場など私有地から出てきた車は原則として「道路外出入車」

✔ 交差点直前でも、出発地点が私有地であればその分類が優先される

✔ 過失割合に影響するため、進入元の場所・事故発生場所を正確に記録することが重要

✔ 実際の責任割合は信号や速度、停止義務など複数要素により判断される

事故の当事者となった場合、道路交通法の正確な理解と現場の証拠が、自身を守るための大きな力となります。

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