交通事故後に「ムチ打ち」と診断された場合の対応と注意点とは?遅れて申告されるケースに備える

交通事故の加害者になってしまった際、相手側から「ムチ打ち」の症状があると後日申告されることがあります。事故直後には何も言っていなかった相手が、数日から数週間後に「病院に行ったらムチ打ちだった」と主張し、通院を始めるケースは珍しくありません。本記事ではそのようなケースに備えるための知識と対策について詳しく解説します。

ムチ打ちとは?見た目ではわかりにくい症状

ムチ打ち(頸椎捻挫)は、追突事故などで首がムチのようにしなることにより生じる筋肉や靱帯の損傷を指します。外見上は傷や腫れが見られず、画像診断でも異常が出にくいため、本人の自覚症状をもとに診断されることがほとんどです。

そのため、事故直後にはアドレナリンの影響などで痛みを感じにくく、数日後に痛みや違和感が出ることも多くあります。これが「後からムチ打ち」と診断される背景です。

加害者として注意すべき点

加害者側としては、「事故直後に何も言っていなかったのに」と疑念を抱きやすいですが、医学的には症状の遅れは十分あり得るため、保険会社も慎重に対応します。相手が通院を始めた時点で「人身事故」として扱われ、交通違反点数の加点や反則金の対象になることもあります。

ただし、被害者の通院が長期にわたる、頻度が不自然、診断内容が曖昧といった場合には保険会社が調査を行う可能性もあります。過剰請求が疑われる場合には、専門医の診断書提出が求められるなどの対応がとられることもあります。

実際にあった事例と加害者の対応

たとえば、ある事故では接触は軽微でお互いに怪我はないと確認後、1週間後に被害者が「首に違和感がある」として通院を開始。加害者は驚きつつも自賠責保険を通じて対応し、その後は保険会社に一任することでトラブルを最小限に抑えました。

別のケースでは、診断書が保険会社の判断で非妥当とされ、相手側との間で通院期間や慰謝料の調整が行われたという事例もあります。

事故直後にやっておくべきこと

  • 警察には必ず届け出をし、「物損」扱いでも事故証明を取得する
  • 加害者・被害者双方で現場写真を撮影
  • 相手の体調変化や発言はメモに残す
  • 保険会社に速やかに報告し、以降のやりとりを任せる

また、事故の相手がその場で「大丈夫」と言っていても、後日症状が出た場合のことを想定し、連絡先の交換や保険の確認は必須です。

通院と人身事故扱いの関係

被害者が病院で「全治◯週間」と診断された診断書を提出した場合、人身事故への切り替えが行われます。これにより、加害者には交通違反点数の加算(例:軽傷で4点)が発生するほか、場合によっては行政処分や罰金が課される可能性もあります。

加害者としては、こうした点数加算を避けたいところですが、現行制度では通院の事実と診断書がある限り、対応は避けられないのが現状です。

まとめ:冷静な対応がカギになる

交通事故後の「ムチ打ち」申告は、意図的な詐病の可能性を疑う前に、冷静に事実と証拠を整理することが大切です。疑問があればすぐに保険会社や弁護士に相談し、自ら判断・交渉しようとせず、法的な対応に任せるのがトラブルを防ぐ近道です。

何より、事故が起きた際にはその場の対応を丁寧に行い、被害者・加害者の立場を問わず誠意を持って向き合うことが、後のトラブル防止につながります。

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