通勤途中に寄り道して事故に遭ったら労災認定される?実家経由のケースでの判断基準

通勤途中の事故は「通勤災害」として労災保険の対象になることがありますが、自宅とは別の場所から職場に向かっていた場合、それが認められるかどうかは状況によって異なります。この記事では、たまたま実家に寄ってから通勤中に事故に遭ったというケースを例に、労災認定の判断ポイントを解説します。

通勤災害として認められる条件とは?

労災保険法では、通勤災害の対象となるのは以下の条件を満たす場合です。

  • ➤ 「住居」と「就業場所」の間を合理的な経路・方法で移動中
  • ➤ 業務とは直接関係のない「私的な目的による逸脱・中断」がないこと

つまり、自宅以外の場所からの通勤でも、その場所が「通勤の起点として合理性がある」と認められれば、労災認定される可能性があります。

「たまたま実家に寄ってから通勤」した場合の判断基準

今回のように、本来は自宅から職場まで1km程度だが、当日に限って実家(職場まで70km)から出勤したケースでは、その「寄り道」が通勤の一環とみなされるかがポイントになります。

労災上の通勤は「住居から就業場所までの経路」を前提としていますが、以下のような事情があると認められる場合は例外的に通勤災害と判断されることがあります。

  • ➤ 実家に前日から宿泊していた(例:家族の介護・用事)
  • ➤ 寄り道が短時間かつ合理的(例:途中で子どもを保育園に送る等)

ただし、明確に「私的な目的(物を取りに寄っただけ)」と判断され、そこから職場への移動が長距離・非日常的であれば、通常の通勤とは認められない可能性が高くなります。

労災が認定された実例と認定されなかった実例

認定されたケース:
遠方の親の介護のため一時的に実家から通勤しており、事故に遭ったケースでは「合理的な住居の起点」として認められた。

認定されなかったケース:
荷物を受け取るために遠方の友人宅に寄ってから出勤中に事故。裁判では「通勤経路からの逸脱」とされ、通勤災害は不認定。

通勤ルートが変更される場合に注意すべき点

定期的に自宅以外から出勤することがあるなら、会社側に申請して「通勤経路としての申請」を行うことで、労災認定の判断に有利になります。

また、一時的な通勤経路変更であっても、正当な理由がある場合は事故状況とともに詳細に説明することで、労基署が個別に判断することになります。

労災申請時のポイント

  • ➤ 実家に向かった理由の合理性(家族ケア、体調、時間的都合など)を説明
  • ➤ 実家から職場への経路が通勤として現実的かどうかを示す
  • ➤ 事故発生場所とタイミングを正確に記録・報告

労災申請は会社経由または労働基準監督署に直接行うことができ、疑義がある場合は、社労士などの専門家に相談するのも有効です。

まとめ:通勤災害は「合理的な通勤経路」がキーワード

たまたま実家に寄った後の通勤中に事故が発生した場合でも、そのルートと理由に合理性があれば通勤災害として労災認定される可能性はあります。

ただし、「物を取りに寄っただけ」「通勤距離が著しく長い」など合理性が説明できない場合は、通勤とは認められず労災対象外となる可能性が高いため、詳細な事情説明が重要となります。

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