近年、高速道路などでの「逆走」が大きな社会問題となっています。交通事故の中でも重大な結果を招きやすい逆走。この記事では、逆走の定義から原因、認知機能との関連性、さらには今後の対策までを解説します。
逆走とは?どのような状況を指すのか
逆走とは、道路の進行方向とは反対の方向へ車を走らせてしまうことを指します。主に高速道路で発生し、他の車両との速度差が大きいため重大事故に直結しやすい危険な行為です。
高速道路では通常、入り口から入ったら一方向へ進む設計となっており、誤って出口から入る、パーキングエリアなどでUターンをすることで逆走が発生します。
逆走の主な原因と実際の事例
逆走の原因には以下のようなものが多く見られます。
- 高齢者による認知機能の低下(道の記憶や判断力の低下)
- 飲酒運転や薬物の影響
- 疲労や注意力散漫による判断ミス
- 標識の見落としや誤解
たとえば、実際のケースでは80代の運転者がパーキングエリアから本線へ戻る際に進行方向を誤って逆走し、対向車と正面衝突してしまう事故が報告されています。
逆走は「認知症」のサイン?
逆走は高齢運転者の認知能力の低下を示す一つの重要なサインとも言われています。道を間違えるだけでなく、「間違えたことに気付けない」ことが大きな問題です。
2017年からは75歳以上の高齢運転者に対し、免許更新時に認知機能検査が義務付けられています。検査で問題が見つかれば医師の診断が求められ、最終的には免許停止や取消の判断が下されることもあります。
事故を起こしていなくても罰則の対象になる?
逆走自体は、道路交通法違反として取り締まりの対象になります。たとえ事故を起こしていなくても、進行禁止違反や通行区分違反として反則点数や反則金が課せられます。場合によっては免許停止や再取得時の講習義務も生じます。
また、逆走によって事故が起きた場合は当然、刑事責任(過失致死傷罪など)も問われます。社会的責任の観点からも非常に重い問題です。
今後の対策と社会の動き
国土交通省や警察庁では、高速道路の入口・出口に「逆走注意」の表示を増やしたり、逆走検知装置の設置を進めています。また、自動車メーカーも逆走防止機能を搭載した車両の開発を進めています。
さらに、認知機能検査や運転経歴の確認に加え、家族や周囲の声かけも非常に重要です。高齢者本人が運転に不安を感じていたり、家族が「最近判断力が鈍ってきた」と感じた場合、免許返納を促すことも選択肢の一つです。
まとめ:逆走は個人の問題ではなく社会全体の課題
逆走は単なる運転ミスではなく、認知力の低下や制度の不備といった複合的な問題です。免許停止などの厳罰化も大事ですが、それと同時に予防的な取り組み、家族や社会による見守りも不可欠です。未来の交通安全のために、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。