会社で安全運転管理者に任命された方や、該当する事業所で勤務している方にとって「警察から調査があるのか?」という疑問は少なからずあると思います。特に事故が起きていない平常時でも、警察による調査が行われることがあるのか気になるところでしょう。この記事では、安全運転管理者制度の概要と、実際にどのような場合に警察の調査が入るのか、そしてその際の対応方法について詳しく解説します。
安全運転管理者制度とは?
安全運転管理者制度は、一定の台数以上の自動車を使用する事業者に対して、安全運転を管理・指導する責任者を選任するよう義務付ける制度です。道路交通法第74条に基づき、5台以上(または定員11人以上の車両を1台以上)保有する事業所に適用されます。
選任された安全運転管理者は、運転者の適性確認、点呼、車両の管理、安全運転指導などの業務を行う必要があります。違反した場合、事業所や管理者自身が処罰対象になることもあるため、制度理解は重要です。
事故がなくても調査されることはある?
多くの人が誤解しがちですが、事故が発生していなくても、警察による調査・立入検査が行われるケースはあります。これはいわゆる「監督指導」にあたります。
監督指導は、警察署の交通課または交通機動隊の担当者が、安全運転管理者の業務状況や帳票管理、点呼記録の有無、アルコールチェック体制などを確認するもので、定期的または不定期に訪問する場合があります。
どんなときに調査が行われやすいのか?
- ■ 同業他社で重大事故が起きた直後
- ■ 過去に交通違反や事故が多発している
- ■ 管轄警察署で重点的な安全指導が実施されている
- ■ メディア報道などで関心が高まっている業界
これらのタイミングでは、実際に事故が発生していなくても調査対象になりやすいため、日ごろから体制を整えておくことが肝心です。
調査で見られるポイントとは?
警察の監督指導では、主に以下の点がチェックされます。
- ・安全運転管理者の選任届の提出有無
- ・点呼記録簿や運転日誌の整備状況
- ・飲酒チェック体制とアルコール検知器の有無
- ・運転者への安全教育の実施記録
- ・事故や違反履歴の管理
これらの記録がない、または虚偽があると、指導や是正勧告を受ける場合もあります。
日常業務として備えておくべきこと
日頃から調査に備えるためには、帳票類の整備と運転者への定期的な教育が必須です。とくに点呼記録、アルコールチェック記録、安全運転講習の実施報告などは、定型フォーマットで残しておくと対応がスムーズになります。
また、警視庁の公式サイトなどで定期的に最新情報を確認することも推奨されます。
まとめ:事故がなくても調査はある。だからこそ日常の準備が重要
事故が起きていないからといって、安全運転管理体制を怠ってよいわけではありません。調査は予告なく行われることもあるため、常に法令に準拠した記録管理と社内体制を整えておくことが、会社を守る鍵になります。
定期的な社内教育や点検の仕組みを整えて、万が一の指導にも慌てず対応できるように備えましょう。