兄弟2人で遺産相続する場合に均等に分けられない5つのケースと注意点

兄弟姉妹のみが相続人となるケースは決して少なくありません。しかし、実際の相続では「2人だから半々になるはず」と考えていたのに、実際には均等に分けられないこともあります。本記事では、兄弟2人で遺産を相続する場合に均等にならない主な原因と対処法を解説します。

■法定相続分でも均等でないことがあるのか?

基本的に、被相続人に配偶者や子供がいない場合、兄弟姉妹は法定相続分により均等に分けることになります(民法第900条)。

しかし、以下のような例外が存在します。

■1. 遺言書がある場合

被相続人が生前に遺言書を残していた場合は、その指定が優先されます。たとえば、「長男に全財産を相続させる」と書かれていれば、弟は1円も受け取れません。

遺留分のある子や配偶者がいなければ、兄弟には遺留分も認められないため、異議申立ても難しいのが実情です。

■2. 生前贈与を受けた履歴がある

兄弟の一方が生前に多額の金銭や不動産を譲り受けていた場合、「特別受益」とみなされる可能性があります。

この場合、他方の兄弟がその分を考慮した金額を相続する形となり、実質的に不均等な分配となるケースがあります。

■3. 相続財産に不動産などの分けにくい資産が多い

不動産や会社の株などは現物分割が難しく、共有または代償分割といった手段で処理する必要があります。

結果的に、金額ベースで不均等な状態になりやすく、トラブルに発展することもあります。

■4. 相続放棄や分割協議の結果

兄弟の一方が自らの意思で相続を放棄することもあります。また、分割協議のなかで「兄が土地を相続し、弟は何も取らない」などの合意が成立する場合もあります。

このように相続人の話し合いによって均等でなくなることは実際にはよくあります。

■5. 債務や借金の取り扱いによる差

相続財産に借金や負債が含まれる場合、それを引き受ける人の取り分を多くすることがあります。

たとえば、兄が300万円の借金を背負う代わりに土地を多くもらう、などのケースです。

■まとめ:均等でない相続には理由がある

兄弟2人だけの相続でも、さまざまな事情により「半々」にはならないことがあります。遺言・生前贈与・不動産・債務・分割協議など、それぞれのケースで判断基準が異なるため、冷静な対応が重要です。

相続でもめたくない方は、早い段階から専門家(司法書士や弁護士、税理士)への相談を検討しましょう。事前の対策が円満な相続の鍵となります。

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