家族が亡くなったあと、生命保険契約を調べるために「生命保険契約照会制度」を利用するケースが増えています。特に相続人として問い合わせをする際には、戸籍などの証明書類の提出が必要ですが、結婚して姓が変わった子ども(娘)である場合、どのような戸籍を用意すればよいのか迷う方も多いでしょう。
生命保険契約照会制度とは
生命保険契約照会制度は、生命保険協会が行っている制度で、遺族が亡くなった方(被相続人)の保険契約の有無を調べることができます。対象者が契約していた生命保険会社に個別に問い合わせる必要がないため、手続きが簡略化されるメリットがあります。
この制度では、本人確認書類、死亡診断書、そして法定相続人であることを証明する書類(戸籍など)の提出が求められます。
相続人として必要な戸籍とは?
戸籍の提出において重要なのは、あなたが亡くなった方の子どもであることを証明するための“つながり”を示せるかどうかです。
たとえば、あなたが結婚して姓が変わっていたり、別の戸籍に移っている場合、ご自身の現在の戸籍だけではお父様との親子関係が確認できないことがあります。
必要となる戸籍の組み合わせ例
1. あなたの現在の戸籍(婚姻後の戸籍)
これは現在の姓や住所、本人確認と照らし合わせるために必要です。
2. 婚姻前の戸籍(お父様と一緒に入っていた戸籍)
この戸籍に「○年○月○日○○家を出て△△と結婚」などの記載があれば、お父様との親子関係が証明されます。
3. 必要に応じて、お父様の出生から死亡までの戸籍
兄弟姉妹など相続人全員の確認が必要な場合や、法定相続情報一覧図を作成する際には、より完全な戸籍収集が必要です。
法定相続情報一覧図という選択肢
戸籍一式を揃えるのが大変な場合、法定相続情報一覧図を法務局で作成しておくと便利です。これは戸籍類をまとめた公的な一覧図で、複数の金融機関や保険会社に提出できる簡便な書類です。
一覧図の作成には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の関係を証明できる書類が必要です。1度作成しておくと、保険の照会以外にも預貯金や不動産の手続きでも活用できます。
実際に照会を行った人の体験談
結婚して姓が変わった40代女性の例では、「最初は自分の戸籍だけでいいと思ったが、親との関係が示せないため婚姻前の戸籍を追加で提出するよう求められた」といった声がありました。
一方で、あらかじめ法定相続情報一覧図を準備していた方は、各種手続きがスムーズに進んだとの報告も。戸籍収集が難しい場合は、司法書士への依頼も検討されていました。
まとめ:戸籍は“親子関係がつながるように”を意識して準備を
・生命保険契約照会制度では、相続人であることを証明する戸籍が必要
・結婚して姓が変わっている場合、現在の戸籍+婚姻前の戸籍が必要になる場合がある
・法定相続情報一覧図の活用で複数手続きが効率化される
・不明点がある場合は、事前に照会先に確認を
不慣れな手続きで戸惑うことも多いと思いますが、戸籍の準備を一つひとつ確認することで、安心して進めることができます。