歩行者が横断歩道を渡っている最中に車と接触した場合、被害者としては怪我の治療はもちろん、その後の警察や保険会社とのやり取りなど、さまざまな対応が必要になります。この記事では、事故発生後の流れや加害者の法的責任、逮捕の有無や慰謝料の支払いについて詳しく解説します。
交通事故発生時の一般的な処理の流れ
交通事故が発生した場合、加害者・被害者双方はまず警察に通報する義務があります。救急搬送が必要なほどの怪我があれば、119番への通報も併せて行われます。
事故現場では警察が実況見分を行い、「物損事故」か「人身事故」かの扱いを判断します。歩行者に怪我があれば基本的に人身事故として扱われ、後日被害者は診断書を提出することになります。
加害者が逮捕される可能性について
交通事故の加害者が逮捕されるかどうかは、事故の内容や過失の程度、違反の有無によって判断されます。たとえば無免許運転、飲酒運転、ひき逃げなどの悪質性があれば即逮捕されるケースもあります。
一方で、事故後すぐに救護や警察への連絡を行い、責任を認めている場合には、身柄拘束をせずに任意で捜査が行われることがほとんどです。
慰謝料や示談金で逮捕が回避できるのか
よくある誤解として「お金を払えば逮捕を免れられる」という考え方がありますが、これは正確ではありません。逮捕されるかどうかは刑事事件としての判断基準によるもので、示談や慰謝料は被害感情の軽減や刑の軽減に影響を与えるに過ぎません。
ただし、被害者と示談が成立し、かつ重大な違反がなければ、警察や検察が「不起訴処分」にすることもあります。この場合は刑事責任を問われず、逮捕もされません。
人身事故としての加害者の処分内容
加害者には刑事上・民事上・行政上の3つの責任が生じます。刑事では罰金や懲役など、民事では治療費や慰謝料、休業損害などの損害賠償、行政では免許点数の加点や免停処分が行われます。
軽度の人身事故であれば、加害者は罰金処分で済むことも多く、免許の行政処分とあわせて終了する場合もあります。ただし、骨折や入院が伴う場合は重過失として扱われ、起訴される可能性も高まります。
被害者がとるべき対応と注意点
まずは病院での受診を優先し、診断書を警察に提出して人身事故としての手続きを進めましょう。また、加害者の保険会社から慰謝料や治療費の対応が行われますが、不十分な場合は弁護士に相談することで適正な賠償を求めることが可能です。
保険会社とのやり取りは専門的で複雑になることが多いため、心身の負担を軽減する意味でも専門家の助言を受けることは非常に有効です。
まとめ:事故後の対応次第で今後が変わる
歩行中の人身事故では、加害者が必ずしも逮捕されるとは限りませんが、責任の所在と状況によっては刑事処分に至ることもあります。被害者側は正しい診断と警察への届出を行い、保険や損害賠償についても早めに手続きを始めることが大切です。
必要に応じて弁護士のサポートを受けることで、損害賠償の適正化や不安の軽減にも繋がります。事故の事実を正しく理解し、適切な対応を取りましょう。