日本では飲酒運転に対する処罰が年々厳しくなっており、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg以上であれば、たとえ初犯であっても運転免許の取消しとなる可能性があります。では、こうした違反は「犯罪歴証明書(いわゆる無犯罪証明書)」に記載されるのでしょうか?この記事では、飲酒運転と犯罪歴の関係を法律的視点から詳しく解説します。
飲酒運転の基準と免許取消しの条件
日本の道路交通法では、呼気中アルコール濃度が0.15mg/L以上で飲酒運転とされますが、0.25mg/L以上であれば「酒気帯び運転」の中でも重い違反に分類され、処分はより厳しくなります。
具体的には、免許取り消し処分(欠格期間1年〜3年)に該当し、行政処分として交通違反点数35点が加算されます。これは一発で免許取消しに相当する点数です。
刑事処分と行政処分の違い
飲酒運転には「行政処分(免許の停止や取消)」と「刑事処分(罰金や懲役)」の2種類があります。重要なのは、犯罪歴証明書に影響するのはあくまで『刑事処分』を受けた場合です。
たとえば、初犯であっても、略式手続きにより罰金刑が科されていた場合、その事実は前科として記録されます。ただし、行政処分のみ(つまり刑事事件にならなかった場合)は、犯罪歴証明書に記載されることは基本的にありません。
犯罪歴証明書とは何か?
犯罪歴証明書(警察証明・無犯罪証明書)は、外務省や大使館への提出など、海外渡航や就労ビザ取得時に必要となる書類です。発行元は警察庁であり、前科(有罪が確定した刑事処分)に限って記載されます。
そのため、たとえ飲酒運転で免許取消しになったとしても、刑事事件として不起訴処分や行政処分のみであれば、この証明書には反映されません。
飲酒運転の罰金刑と「前科」の扱い
多くの飲酒運転の初犯事例では、略式命令により罰金刑(30万円〜50万円程度)が科されます。罰金刑でも刑法上の「有罪判決」に該当するため、これにより前科が1犯ついたことになります。
この場合、犯罪歴証明書に記載される可能性があり、外資系企業への就職、海外移住、資格取得などに影響する場合があります。
どのようなケースで記載されるのか?
犯罪歴証明書に記載されるかどうかは、以下のようなポイントで判断されます。
- 刑事処分を受けた(罰金・懲役等)
- 有罪が確定している
- 証明書の提出先が「前科」の有無を重視する目的(例:入国審査やビザ発給)
たとえば、アメリカやカナダへのビザ取得時には厳しく確認されることが多く、軽微な前科でも影響する可能性があります。
まとめ:免許取消しだけでは記載されないが罰金刑なら要注意
0.25mg/L以上の飲酒運転で免許が取り消された場合でも、刑事罰(罰金等)を受けていなければ犯罪歴証明書には記載されません。しかし、罰金刑が科された場合には前科となり、証明書に記載される可能性がある点に注意が必要です。
心配な場合は、最寄りの警察署や弁護士に相談し、自分の記録がどうなっているかを事前に確認することをおすすめします。