お店で商品を購入しようとした際、値札とレジでの金額が異なっていて驚いたという経験はありませんか?例えば、商品タグに「350円」と書かれていたにもかかわらず、レジでは「399円」と表示された場合、この価格差に納得できないのは当然のことです。本記事では、こうした価格表示ミスに法的な問題はないのか、店舗側の対応は適切なのか、消費者としてどのように行動すべきかを詳しく解説します。
価格表示ミスがあった場合、店側に値札通りの価格で売る義務はある?
結論から言えば、値札の価格は「契約の申込み」ではなく「誘引」に過ぎないとされており、法的には店舗側に「350円で必ず販売しなければならない」という義務はありません。
これは民法の「申込みと承諾」のルールに基づくもので、商品をレジに持って行って店側が価格を提示し、それに同意して初めて売買契約が成立する仕組みです。そのため、表示価格とレジ価格が異なっても、販売を拒否すること自体は法律違反ではありません。
ただし景品表示法などに違反する可能性も
一方で、明らかに消費者を誤認させるような価格表示は、景品表示法の「有利誤認表示」に該当する可能性があります。例えば。
- 意図的に安い価格を表示して集客する
- 複数商品にわたり不適切な表示が続いている
- 値札を修正せず放置していた
このような場合は、消費者庁や都道府県の消費生活センターへの報告で是正措置が取られるケースもあります。
店員の「人間だからミスはある」発言は適切か?
価格表示ミスは確かに人為的なものかもしれませんが、そのミスによって損をするのは本来消費者ではなく事業者側であるべきです。
「人間だから」と言いながら、ミスの責任を顧客に転嫁する姿勢は、顧客対応としては不適切です。特に誠意を持った謝罪や代替案の提示がない場合、企業の信頼性にも関わります。
こうしたケースでクレームを入れるのは正当か?
店員の対応に不信を感じた場合、冷静に本部や本社のお客様相談室に報告することは消費者の正当な権利です。その際には以下の情報を記録しておくとよいでしょう。
- 店舗名と所在地
- 発生日時とレジ担当者の対応
- 値札やレシートの写真(証拠)
感情的に怒鳴るのではなく、事実を整理して伝えることで改善につながる可能性が高まります。
実際の対応例:良心的な店舗との比較
実際には、良心的な店舗であれば「表示価格で販売します」として顧客に不利益が出ないように対応することが多いです。
例えば、大手スーパーやドラッグストアでは、「値札価格と異なる場合は値札の価格で販売いたします」と明記されているところもあります。これが現代の顧客満足度を重視した経営姿勢の表れともいえるでしょう。
まとめ:法律的にはセーフでも、顧客対応の良し悪しが問われる時代
価格表示ミスに対して、販売を拒否する行為そのものは法的には容認されていますが、その対応姿勢次第で顧客の信頼を失うリスクがあることは、販売側も強く意識すべきです。
消費者としては、不快な対応を受けた場合でも冷静に対応し、必要があれば消費者相談窓口に報告することで、適切な是正や改善が期待できます。