自己破産を検討している最中に仕事が決まり、収入が安定すると安心感がある一方で、「収入が増えると破産できなくなるのでは?」と不安に感じる方も多いです。実際、収入と支出のバランスや生活実態は、裁判所が免責(借金の帳消し)を判断する際に一定の影響を及ぼす可能性があります。この記事では、月収と生活費のギャップが自己破産に与える影響や注意点について詳しく解説します。
収入があることは破産の申立て自体に問題はない
自己破産の申立てにおいて、収入の有無そのものは問題ではありません。むしろ、安定した収入があることで「生活の立て直しが可能」と見なされ、前向きに評価されるケースもあります。
破産申立ての主な要件は「支払不能状態」であり、収入があっても借金の返済が困難であることが明確であれば、申立ては受理されます。
生活費が極端に低いと指摘されることも
収入が25万円ありながら生活費が毎月10万円程度と記載すると、「実際にはもっと余裕があるのでは?」と裁判所が疑問を持つ可能性があります。
特に同居人がいない単身世帯で、光熱費・通信費・保険料・交際費などが全く計上されていない場合、生活実態と異なる申告とみなされることもあります。
正直かつ現実的な支出計上が大切
申立書には、できるだけ現実に即した支出計画を記載しましょう。以下のような費目も忘れずに含めることが重要です。
- 食費・日用品費
- 水道光熱費・通信費
- 家賃や住宅ローン
- 通勤交通費
- 医療費・保険料・予備費
- 交際費・レジャー費
たとえ実際の支出が月10万円前後で済んでいても、無理なく生活を送るために必要な金額を「相場」に沿って記入することが望まれます。
ボーナスの扱いと使い道も報告の対象
年2回支給されるボーナス(4か月分程度)についても、破産管財人や裁判所への報告が必要です。使途によっては「浪費」とみなされ、免責不許可の一因となることもあります。
例えば、高額の買い物や贈与、ギャンブルなどの支出は避け、基本的には生活維持・税金・医療費など合理的な目的に限定すべきです。
まとめ:収入の増加よりも説明の整合性が重要
自己破産中に収入が増えること自体は、破産の申立てや免責の妨げにはなりません。ただし、月収と支出のバランスに不自然さがある場合には説明責任が発生することになります。
実態に即した家計報告を心がけ、弁護士としっかり相談しながら進めることで、スムーズな手続きが可能になります。正直な申告と丁寧な対応が何よりも大切です。