公共交通機関であるバス内で発生した乗客同士の接触事故について、被害を受けた場合にどのような対応が可能なのか、慰謝料請求は誰にできるのか、そして相手が特定できない場合の対応までを詳しく解説します。
バス内での事故:責任の所在はどこに?
バス内で乗客が転倒し、他の乗客に接触して負傷させた場合、基本的に加害行為をした乗客に民事上の責任が生じる可能性があります。これは「不法行為」にあたるとされ、損害賠償や慰謝料請求の対象になりえます。
ただし、その接触の原因がバス運転の急ブレーキや急発進などによるものである場合、バス会社側にも安全配慮義務違反として一定の責任が問われる可能性も否定できません。
相手が特定できない場合の慰謝料請求の壁
バス車内での出来事において、加害者が誰か分からない、もしくは連絡先を知らないというケースは少なくありません。特に無料バスなどでは交通系ICの利用履歴も残らないため、加害者を特定することが困難になります。
このような場合は、まずはバス会社に事故当時の車載カメラ映像や運行記録の確認を依頼しましょう。ただし、プライバシー保護の観点から提供を断られることも多いため、弁護士を通じて請求する方法もあります。
バス会社への責任追及は可能か?
乗客間の接触が運転操作の影響であれば、バス会社が安全運転義務を怠ったと見なされる可能性があります。この場合、損害賠償責任をバス会社に問うことができることも。
実例として、急ブレーキによる乗客の転倒でバス会社が一部責任を認めた判例も存在します。ただし、バス側が交通の安全維持に最大限努めていたと判断された場合は責任が否定される可能性もあります。
事故後に取るべき行動と証拠収集のポイント
事故直後は加害者の連絡先や証言者の情報、バスのナンバー・運行会社名、運行時間などを記録することが重要です。可能であればスマートフォンで状況を撮影するのも有効です。
今回のように「一時的な痛み」と判断して記録を取らなかった場合でも、病院の診断書は有効な証拠となります。通院記録や症状の経過も丁寧に残しておきましょう。
弁護士への相談と損害賠償請求の可能性
事故後の慰謝料請求や損害賠償請求は、専門知識を持つ弁護士に早期に相談することが大切です。相手が特定できなくとも、バス会社を相手取って損害賠償を請求する余地があるかもしれません。
弁護士が入ることで、映像記録やバス会社との交渉もスムーズに進められるケースが多くなります。
まとめ:今後の対応と備え
バス内の事故において慰謝料請求が可能かどうかは、事故の原因や責任の所在、証拠の有無によって変わります。まずはバス会社への問い合わせと病院での診断記録の確保、そして早期の法的相談が鍵となります。
同様の事故に備えるためにも、公共交通機関を利用する際は、事故時の記録と証言の確保を意識しておくことが将来的に役立つ可能性があります。