苗字と旧住所しかわからない相手を訴えることは可能か?法律的観点から解説

トラブルや損害が発生した際に、相手を訴えたいと考えるのは自然な流れです。しかし、相手の情報が限られている場合、訴訟を起こすことは現実的に可能なのでしょうか。本記事では「苗字」と「以前の住所」だけしかわからない相手に対して訴訟が可能かどうかを、法律的観点から詳しく解説します。

訴訟に必要な情報とは

民事訴訟を起こすには、通常被告の「氏名」「現住所」が必要です。訴状には被告の送達先(=住所)を明記しなければならず、それが不明な場合は送達が成立せず、訴訟が進行できません。

たとえ被害の証拠が揃っていたとしても、相手が特定できなければ訴訟は事実上不可能となります。つまり、苗字だけでは足りず、住所の情報が重要になります。

旧住所しかわからない場合の対応方法

相手の「前の前の住所」しかわからない場合、その情報だけで訴状を送ることは難しいですが、一定の手続きや調査を経れば特定できる可能性があります

具体的には、以下のような方法が考えられます。

  • 住民票の調査(弁護士が職務上請求できる)
  • 内容証明郵便の送付を通じた連絡
  • SNSや人づてなど、合法的な調査による所在確認

これらの手段により、現住所を特定できた場合にのみ訴訟の準備が整います。

弁護士への相談が有効な理由

個人では限界のある調査ですが、弁護士は「職務上請求書」という制度を用いて住民票の履歴などを追うことができます。そのため、相手の旧住所と苗字が分かっていれば、そこからたどることは不可能ではありません。

特に詐欺や債権回収、名誉毀損など法律上の根拠がある場合、弁護士に依頼することで訴訟が現実的になるケースも多くあります

裁判所による公示送達という手段

どうしても住所が分からない場合には、「公示送達」という方法を利用できる場合もあります。これは裁判所の掲示板に訴状の内容を一定期間掲示し、送達したとみなす制度です。

ただしこれは特例的な手続きであり、住民票調査などの努力を尽くした後でなければ認められません。また、被告が実際に訴訟に気づかず無視した場合でも判決が出てしまうため、後のトラブルの火種になる可能性もあります。

そもそも訴訟すべきかどうかの判断も重要

法的に訴えるには「費用」「時間」「労力」がかかります。内容にもよりますが、訴訟によって得られるリターンと見合っているかを冷静に判断する必要があります。

内容証明郵便を使った警告や少額訴訟の利用など、他の選択肢も視野に入れて検討することをおすすめします。

まとめ|情報が限定的でも、法的手段は検討可能

苗字と旧住所だけでは訴訟は困難ですが、弁護士などの専門家の協力を得れば、現住所の特定や訴訟の準備も不可能ではありません。公示送達などの制度もありますが、あくまで最終手段として慎重に活用する必要があります。

まずは無料相談が可能な弁護士や法テラスなどにアプローチし、自分のケースが法的に進められるものかを確認することが、第一歩となるでしょう。

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