日常の中で思いがけず起こる軽微な接触事故。特にコンビニなどの駐車場内では、スピードも出ておらず「当たった感覚がない」ほどの接触でも、大きなトラブルに発展することがあります。今回は、そうした軽微接触から発展する人身事故への切り替えリスクとその対応について解説します。
駐車場内の接触事故と自動ブレーキの作動
最近の車両には自動ブレーキ機能が搭載されており、接近時には警告音と自動停止が作動することがあります。例えば、バック中に20cmの余裕を残して止まったとしても、相手の車に乗っていた人が「衝撃があった」と主張すれば、事故として処理される可能性は十分にあります。
重要なのは、物理的な傷が見当たらなくても「当たった」と主張されれば事故として認定されることがあるという点です。特に警察が現場確認し「接触があった」と判断した場合、加害側とされる可能性が高くなります。
人身事故への切り替えはどうなる?
接触の有無に関わらず、相手が病院に行って診断書を提出すれば人身事故として取り扱われることがあります。診断書があれば、軽微なむち打ち症でも「全治◯日」と記載され、警察が人身事故へ切り替える判断をすることも。
この場合、加害者側の人身傷害保険から治療費や慰謝料が支払われることになります。たとえ接触がわずかでも、既往症や持病があった場合にも「事故との因果関係」が成立してしまうリスクがあるのです。
自己防衛のためにできること
軽微接触の事故直後は、必ず以下を行いましょう。
- 現場の写真を多角的に撮影
- ドライブレコーダーの保存
- 相手の車両状態や反応を録音やメモで記録
さらに、警察には自身の立場を明確にし、事故状況を正確に伝えることが重要です。「ショックはなかった」「相手の主張と異なる」と明言しておくことで、後の交渉にも活用できます。
慰謝料請求の実態と節度の問題
交通事故では、相手の主張がすべて通るとは限りません。損害保険会社は診断書を精査し、通院頻度や事故との因果関係の有無から慰謝料の妥当性を判断します。
一方で、「被害者だから何を言っても通る」といった誤解を与えかねないケースもあり、モラルや節度のない主張に苦しむ加害者も少なくありません。それでも、誠意ある対応と正しい記録は、自身の身を守る最大の武器になります。
過失割合や修理費、代車費用の支払いについて
今回のようなケースでは、加害者側の保険会社が修理費・代車費用として約15万円程度を負担することがあります。物損事故で示談が成立すれば、そこで支払いは完結します。
ただし、人身事故への切り替え後は追加で慰謝料や治療費が発生する可能性もあり、加害者が直接支払うことはほとんどなく、保険対応となるため過度な心配は不要です。
まとめ:心構えと記録がトラブル回避の鍵
軽微な接触事故でも、人身事故に発展することはあり得ます。そのためには冷静な対応と記録の確保、保険会社への早期連絡が極めて重要です。
モラルや節度の問題に悩まされることもありますが、法と証拠に基づいて適切に対処することで、自身を守ることができます。事故後に「心が蒼白になる」ような不安を感じないためにも、日頃から事故時の対応策を身につけておきましょう。