街を歩いていて、「これは危ない」と感じる場面に遭遇したことはありませんか?例えば、納屋の屋根から金属板がはがれかけていたり、斜面から今にも落ちそうな物干し竿が歩道に向かって突き出しているような光景は、思わぬ事故につながる可能性があります。本記事では、こうした危険物によって事故が起きた場合の責任の所在や、危険物件の通報方法、安全確保のためのポイントについて解説します。
もし怪我をしたら誰の責任?民法と所有者の管理責任
道路に隣接する建物や敷地からの落下物によって通行人が怪我をした場合、基本的にはその建物や土地の所有者や管理者に損害賠償責任が発生する可能性があります。これは民法第717条「土地の工作物等の占有者および所有者の責任」に基づきます。
たとえば、錆びた金属板が飛んできて怪我をした場合、それが明らかに長期間放置されていたと認められれば、建物の所有者に過失があったとして責任を問うことができます。
直接の注意や苦情が難しい場合の通報先
近隣住民との関係性などから直接伝えるのが難しい場合は、行政窓口を通じて安全対策を促す方法があります。以下の窓口が相談先となります。
- 市区町村の建築指導課:建物の老朽化や危険物放置について調査や指導を行う。
- 道路管理者(道路課や土木課):公道に影響を及ぼす場合は、道路占用の観点から措置を取る可能性があります。
- 市民相談窓口・防災課:通報後に現地確認を行い、所有者に改善指導を行う場合があります。
各自治体のホームページには、危険建築物や道路障害物に関する通報フォームや電話番号が記載されているので、匿名での通報も可能なことがあります。
危険な状況を見かけたらどう行動すべきか
発見した際は、日時・場所・危険物の状況を写真に記録しておくと、通報時に具体的な説明がしやすくなります。また、第三者が怪我をする前に通報することで、被害を未然に防ぐことにもつながります。
物干し竿や看板、トタン屋根などが明らかに落下の危険がある状態にあるなら、遠慮せず速やかに自治体へ連絡しましょう。
万が一事故が発生してしまった場合の対応
もし怪我をした場合は、まず病院で診察を受け、診断書を取得します。次に、現場の写真や目撃者の証言、通報記録を収集しておきましょう。
その上で、加害者にあたる所有者に損害賠償請求を行うことができますが、直接交渉が難しい場合は弁護士に相談することをおすすめします。また、法テラスなどを通じて無料相談も可能です。
再発を防ぐために地域でできること
空き家や老朽建築物が増えている地域では、住民同士で情報共有を行い、定期的に危険箇所の点検や報告を行うことも有効です。町内会や防災訓練などの機会を活用し、「みんなで見守る仕組み」を作ることで、事故防止に繋げることができます。
また、市区町村によっては危険な空き家に対する補助制度や、指導制度が整備されているため、そうした制度も活用しましょう。
まとめ:危険を感じたらためらわずに行動を
道路脇の危険物は、放置すれば重大な事故につながる恐れがあります。もし見かけたら、写真を撮って自治体に通報し、専門部署の対応を仰ぐことで、自分自身だけでなく周囲の安全も守ることができます。
怪我をした場合でも、適切な記録と証拠があれば法的に責任を問うことが可能です。早めの対応と記録を心がけて、安全な生活環境づくりを進めましょう。