交通事故の被害に遭い、加害者側の保険会社から慰謝料の提示を受けたとき、多くの人が「その金額は妥当なのか?」と不安を抱えます。今回は頚椎捻挫で入院・通院したケースをもとに、示談金の適正額や対応方法についてわかりやすく解説します。
入院・通院の状況から見る慰謝料の相場
交通事故における慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。提示された金額がどの基準かを知ることが、妥当性の判断に重要です。
例えば、自賠責基準では、通院1日につき4300円(2024年時点)で計算され、入院日数も加味されます。今回のケース(入院29日+通院51回)では、4300円×(入院29日+通院51日)=約34万円程度が基準となります。保険会社提示の552,900円は、任意保険基準あるいはそれに近い金額である可能性があります。
慰謝料の金額はどこまで交渉できるのか
保険会社が提示する金額は、あくまで“初期提案”です。弁護士を通じて交渉すれば、より高額な慰謝料を得られる可能性があります。特に弁護士基準では、通院日数に応じて1日7100円以上が認定されることもあります。
実例として、同様の頚椎捻挫で通院60回以上のケースでは、70万円〜80万円の慰謝料が認められたことも。提示額に疑問があれば、交渉や弁護士相談は十分に検討の価値があります。
保険会社の「早期示談」を急がれる理由とリスク
保険会社は早期解決を目指すため、頻繁に連絡をしてくる場合があります。しかし、焦って示談すると後から通院が必要になった場合でも補償を受けられません。
示談は原則として一度成立すれば撤回ができません。治療が完了してから、十分な休養と診断書を基に交渉に臨むことが大切です。
困ったときの相談先と無料サポート
示談交渉に不安がある場合は、以下の相談先が利用可能です。
- 法テラス:無料法律相談を提供(収入条件あり)
- 日本弁護士連合会・各都道府県弁護士会
- 交通事故に強い弁護士(初回無料相談あり)
- 自賠責保険・共済紛争処理機構:示談がまとまらない場合の救済制度
費用が心配な場合でも、弁護士費用特約が自動車保険に付帯していることが多いため、自身の保険を確認してみましょう。
示談の前に確認すべき3つのポイント
示談する前に以下の点をしっかり確認してください。
- ① 治療が完全に終了しているか(症状固定)
- ② 医師の診断書がそろっているか
- ③ 示談金額に納得できるか、交渉の余地があるか
もし納得できない場合は「その場でサインしない」「検討させてください」と保留にすることが可能です。
まとめ:焦らず、納得のいく示談交渉を
交通事故後の示談交渉は、精神的・時間的に負担が大きいものです。しかし、自分の正当な補償を得るためには冷静に対応することが不可欠です。
金額に疑問がある場合は、一度専門家に相談して、適正な慰謝料を受け取れるよう備えましょう。焦らず、誠実な対応が未来の安心につながります。