交通事故に遭った際、被害者として受け取る慰謝料には様々な算定基準があります。その中で「実通院日数」を基準にされることが多く、「通えなかった事情があっても減額されてしまうのでは?」という疑問や不安を抱く方も少なくありません。特に子育て中の方にとって、頻繁な通院が難しいという事情は無視できない問題です。
慰謝料の算定方法|実通院日数と治療期間
交通事故による慰謝料は、主に「治療期間ベース」と「実通院日数ベース」の2つがあります。
一般的には、慰謝料=通院期間(または通院日数×2)×日額4,300円〜8,900円程度という基準で算出されます。
保険会社は実通院日数ベースを採用することが多く、その理由は客観的に算出できるからです。
一方、裁判基準(赤い本基準)では通院「期間」ベースで判断されることもあり、特に弁護士を通じて請求する場合はこの点が交渉において重要になります。
子育てや介護など「やむを得ない事情」は主張できる?
実通院日数が少ない理由が明確で、合理的に説明できる場合、弁護士を通じた交渉や裁判で通院「困難な状況」も考慮される余地があります。
たとえば、3歳の子どもの発熱や体調不良により通院が制限された、家庭の事情で移動が困難だった、などの記録や日記、保育園からの連絡票があれば、これらを主張材料として使えます。
精神的苦痛と慰謝料の関係
交通事故による精神的なショックや予定のキャンセル、大切な用事を失ったことなども慰謝料の増額要因になりうることがあります。ただし、このような主観的損害は証明が難しいため、メンタルクリニックの通院記録や診断書などが必要になります。
実際、被害者が事故後に不眠や食欲不振などの症状を訴え、精神科を受診していたことで、慰謝料の加算が認められた判例もあります。
保険会社との交渉は弁護士の力量も関係する
保険会社はあくまで自社の基準で支払いをしようとする傾向があり、通院制限の事情や精神的苦痛を丁寧に主張できる弁護士でなければ、最大限の慰謝料を引き出すのは難しいこともあります。
もし担当弁護士の説明が機械的で納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを検討するのも一つの方法です。弁護士特約があるなら費用負担も少なく、別の事務所に相談し直すことも可能です。
被害者が意識すべき証拠の残し方
通院ができなかった日の理由、通院が困難だった環境の写真、日記形式のメモなども有効な証拠となります。
加えて、事故の影響で生活にどんな支障が出たか、どのような痛みに苦しんでいたかを具体的に書き出しておくと、慰謝料交渉時に説得力を持たせられます。
まとめ|通院日数が少なくても諦めないで
交通事故の慰謝料は、単に実通院日数だけで機械的に判断されるものではありません。
やむを得ない事情があった場合や、精神的な苦痛が大きかった場合は、丁寧な説明と証拠の積み上げにより、慰謝料の増額を求めることが可能です。
納得のいく補償を受けるためにも、記録の保存と弁護士との連携を大切にしながら、交渉を諦めず進めていきましょう。