交通事故によりむちうちなどの症状が発生し、通院や休業を余儀なくされると「休業損害」が発生します。とくに主婦や無職期間中の人が対象になる「主婦休業損害」では、提示された金額があまりに少なく感じることもあります。本記事では、保険会社が提示する損害額の根拠と、納得いかない場合の交渉方法について詳しく解説します。
主婦休業損害とは何か
主婦休業損害とは、交通事故による怪我で家事労働ができなくなった場合に請求できる補償です。これは専業主婦に限らず、パート・学生・無職期間中の人でも「家事従事者」とみなされれば対象になります。
休業損害は「1日あたりの基準額 × 対象日数」で算出され、基準額は通常、日額6100円(令和6年現在の賠償基準例)前後が相場です。これは労働者の平均賃金から算出された金額で、実収入がなくても適用されます。
保険会社が提示した5日間の根拠は?
保険会社が休業日数を5日としたのは、おそらく実際に通院した日数のみをカウントしているためです。しかし、実際には通院日以外でも痛みがあって日常生活に支障がある場合、休業損害の対象となる日として主張することができます。
たとえば、整形外科で「全治3週間」と診断され、リハビリや安静が必要とされた場合、実通院日数に関係なく、日常生活や就労に制限があった日数を加味して休業損害日数を主張できます。
勤務予定だった場合の補償はどうなる?
あなたが就職予定だった日から実際の入職日までの期間に事故の影響で働けなかった場合、「就労不能状態」として休業損害を請求する余地があります。
その際は、「内定通知書」や「就業予定日が記載された契約書」、「医師の診断書(労働制限ありなどの記述)」を用意すると、保険会社との交渉を有利に進めることができます。
損害賠償交渉で気をつけるポイント
保険会社の提示額に納得がいかない場合、主張の根拠を文書で提示し、交渉を行うことが重要です。例えば以下のような資料を整えると効果的です。
- 治療期間・症状固定日が記載された診断書
- 家事労働に支障があった旨の医師の意見書
- 就職予定の証明(会社の書類など)
それでも保険会社が交渉に応じない場合は、弁護士特約を使って無料で弁護士に相談することも検討してください。
休業損害の請求期限と対処法
休業損害の請求には時効があります(原則として事故から3年)ので、早めに請求または交渉を行うことが大切です。
また、症状固定後でも「逸失利益」や「後遺障害」の認定があれば追加の賠償請求も可能になります。一度提示された金額に納得がいかない場合でも諦めず、まずは冷静に交渉の準備を進めましょう。
まとめ:提示額に疑問があれば交渉や相談を
主婦休業損害は、基準日額や認定日数の根拠が不透明なまま低額で提示されることが多いため、自分の状況に合った主張と資料提出で補償内容を見直してもらうことが重要です。
通院日数だけでなく、就労不能期間や生活への支障を証明できれば、補償額が増額される可能性は十分にあります。納得できない場合は専門家への相談を検討しましょう。