離婚公正証書を作成しても離婚しないケースはある?手続きと注意点をわかりやすく解説

離婚を検討する際に作成される「離婚公正証書」は、法的効力を持つ重要な文書です。しかしこの文書を作成したからといって、必ずしも離婚が成立するとは限りません。本記事では、離婚公正証書の役割と、その後の実際の離婚手続きとの関係について詳しく解説します。

離婚公正証書とは何か?

離婚公正証書とは、夫婦が離婚することに合意し、その際の慰謝料・養育費・財産分与・親権などについての取り決めを文書化し、公証役場で作成する書面のことです。公証人の立ち会いのもと作成され、一定の強制執行力を持つ点が特徴です。

特に養育費や慰謝料の支払いが滞った場合、裁判を経ずに強制執行できる内容を盛り込むことができます。したがって離婚後のトラブル回避を目的として多く利用されています。

離婚公正証書があっても離婚が成立していない場合とは?

実は、離婚公正証書を作成しただけでは、法律上の「離婚成立」とはなりません。離婚を法的に成立させるためには、市区町村役場に離婚届を提出し、受理される必要があります。

そのため、公正証書が作成された後でも、離婚届が提出されない限り夫婦関係は継続します。たとえば、話し合いがこじれたり、気が変わったりして離婚届を提出しないことにした場合、公正証書があっても法的には「婚姻状態」のままです。

どのようなときに離婚が成立しないままになるのか

具体的な例として、次のようなパターンが考えられます。

  • 一方が離婚届にサインせず、役所に提出できない
  • 提出後に一方が「離婚届不受理申出」を役所に届け出た
  • 合意内容に不満を感じて提出を取りやめた

また、離婚公正証書に「◯月◯日までに離婚届を提出する」と記載していても、それが法的強制力を持つとは限らない点にも注意が必要です。

離婚成立のプロセスと公正証書の活用の順番

離婚の手続きには、基本的に以下のステップが必要です。

  1. 夫婦で離婚の合意
  2. 慰謝料・養育費・財産分与などを話し合う
  3. 公正証書を作成(必要に応じて)
  4. 離婚届に署名・押印し、役所に提出
  5. 役所で受理され、離婚成立

公正証書は離婚後のトラブル防止に役立ちますが、それ単独では「離婚の証明」にはなりません。

実際の手続きで気をつけるポイント

特に次のような点に注意が必要です。

  • 離婚届の提出を確実に行うこと
  • 相手の意思が変わっていないか確認する
  • 公正証書の内容が一方的でなく、公平な合意であること

また、子どもがいる場合は親権者の指定がなければ離婚届が受理されないため、その点も確認が必要です。

まとめ:公正証書=離婚成立ではないので要注意

離婚公正証書は離婚に向けた重要な準備ですが、それ自体が離婚の法的成立を意味するものではありません。最終的には「離婚届を役所に提出し受理されること」が必要です。手続きを進める際は、法的な順序と相手方の合意の継続性をしっかり確認しましょう。

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