タクシー降車時の転倒事故は警察や保険の対象になる?安全確認義務と法的責任を解説

タクシーの利用は安全で便利な移動手段ですが、降車時のちょっとした不注意が思わぬ事故につながることもあります。特に「降りた直後に転倒してケガをした場合、それは事故扱いになるのか?」「運転手に責任はあるのか?」といった点は、利用者にとって重要な関心事です。本記事では、タクシー降車時の転倒事故に関する法的な扱いや対応の流れを詳しく解説します。

タクシー運転手には「安全に降ろす義務」がある

道路運送法やタクシー業界の運行基準では、運転手には乗客の乗降時における安全確保の義務が課されています。特に高齢者や身体が不自由な方などには、降車時に一言かけたり、見守ったりする配慮が必要とされています。

したがって、縁石などにつまずいて転倒した場合でも、その場所が明らかに危険な構造だった、もしくは運転手が安全確認を怠ったとすれば、民事上の責任(損害賠償責任)や運輸局からの指導対象となる可能性があります。

警察に通報すべき「事故」の範囲とは?

法律上、交通事故として警察へ報告が義務付けられるのは、道路上で自動車が関与して人身・物損を伴った場合です。タクシー車両と直接接触していない場合でも、降車の一連の流れの中で発生したケガについては、「準交通事故」として扱われることがあります。

たとえば、タクシーの扉が開いている位置に段差や危険な縁石があるにも関わらず、それを伝えずに乗客を降ろして事故になった場合には、運転手の過失が問われる可能性があります。念のため、事故発生時には警察に通報して状況を記録してもらうことが望ましいです。

タクシー会社に責任を問える可能性

タクシー会社の運行中の事故については、事業者責任保険(請負賠償責任保険)自賠責保険が適用される場合があります。特に乗客の乗降中の事故であれば、保険会社が対応してくれる可能性があります。

事故の状況を記録しておくことが重要で、日時・場所・タクシー会社名・ナンバー・運転手の対応などをできるだけ詳細に控えておくと、後の交渉がスムーズになります。

民事での損害賠償請求の流れ

警察への届出と並行して、タクシー会社へ連絡し、事故状況を報告しましょう。会社によっては示談交渉や保険対応をしてくれる場合があります。

なお、医療費や通院交通費、休業損害などを請求する際は、診断書や領収書、通院記録などが必要になるため、早めの準備が肝心です。

実例:降車時に骨折し、後日示談金を受け取れたケース

ある60代女性が、夜間にタクシーを利用し降車した際、歩道との段差に気づかず転倒して手首を骨折。運転手は「気をつけて」と声をかけたものの見守らずに発進してしまったとのこと。このケースでは、タクシー会社側が過失を認め、示談で15万円の慰謝料が支払われました。

このように、運転手の「降車時の対応」次第で責任の有無が分かれるため、当事者の証言や証拠の確保が非常に重要です。

まとめ:降車時の事故も「適切な対応」で損害補償が可能に

タクシーの降車時に起こる事故も、状況によっては「運転手や会社に責任がある」と認定される可能性があります。特に骨折などの重大なケガの場合は、警察に届け出て事故証明を取ることをおすすめします。

また、泣き寝入りを防ぐためにも、タクシー会社への連絡や証拠の保全を忘れずに。安心・安全な移動を確保するためには、利用者自身の知識も重要な武器になります。

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