セルフレジでの“スルー”行為は窃盗罪になる?法律と実例から正しく理解する

近年、スーパーやコンビニで導入が進むセルフレジ。利便性が高い反面、意図的にスキャンを省略して商品を持ち出す、いわゆる“スルー”行為が問題視されています。このような行為が法的にどう扱われるのか、不安に思う方も多いでしょう。この記事では、刑法や判例に基づき、セルフレジでの不正行為が窃盗罪に該当するのかを詳しく解説します。

セルフレジでのスルー行為はなぜ問題なのか

セルフレジでは、利用者自身が商品をスキャンし、支払いまでを済ませる仕組みです。この自己申告型の性質を悪用し、一部の商品をスキャンせずにレジを通過する行為が発生しています。

たとえば、100円の商品2点のうち1点しかスキャンせず、もう1点をこっそり袋に入れて退出した場合、本来は200円支払うべきところを100円しか支払っていないため、不正取得となります。

法的には「窃盗罪」にあたる可能性が高い

刑法第235条に定められている「窃盗罪」は、他人の財物を不法に占有する行為を処罰します。スルー行為によって支払っていない商品を持ち去った場合、所有者(店)の承諾を得ずに財物を占有したと解釈されるため、窃盗罪が成立する可能性が非常に高いです。

実際に、警察庁や各地の検察庁はセルフレジでの“スルー万引き”に対して、悪質性が高い場合は逮捕・送検も視野に入れると発表しています。

「うっかり」か「故意」かで大きく違う

スキャン忘れが“うっかりミス”だった場合は、窃盗罪とならないこともありますが、防犯カメラでの動作や発言内容などから「故意性」が認定されると、処罰の対象になります。

たとえば、商品をスキャンせずに意図的に隠すような動作をしていた場合、それは単なるミスではなく「故意に盗んだ」とみなされることがあります。

過去の実例:逮捕されたケースも

2023年、東京都内のスーパーでセルフレジを使って数点の商品を未会計のまま持ち帰った女性が窃盗容疑で逮捕されました。本人は「スキャンし忘れた」と主張しましたが、防犯カメラ映像や行動の不自然さから「意図的」と判断され、立件に至っています。

このように、セルフレジでも「盗む意図」があれば通常の万引きと同じ扱いになります。

店側の対応と社会的影響

一部の店舗では、スルー対策として「確認用の監視員」を配置したり、AIカメラを導入したりする例も増えています。また、スルー行為が繰り返されれば警察への通報、出禁、損害賠償請求の対象になることもあります。

さらに、これらの行為が報道されると社会的信用を大きく失うリスクもあるため、たとえ金額が少額であっても軽く考えてはいけません。

まとめ:セルフレジでも“スキャン漏れ”は重大な法的リスク

セルフレジでの“スルー”行為は、たとえ少額でも意図的であれば明確な窃盗罪に該当します。「バレなければ大丈夫」では済まされず、防犯カメラやAIによる監視が進む中でリスクは増大しています。

セルフレジを利用する際は、すべての商品を確実にスキャンすることが重要です。日常の些細な不正が、人生を大きく狂わせる事態にもつながりかねないことを理解しましょう。

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