金融サービス提供法と消費者契約法が併用できると何が有利?具体的な活用シーンとメリットを解説

消費者が金融商品を契約する際、「金融サービス提供法」「消費者契約法」の両方が適用されるケースがあります。この2つの法律は、それぞれ異なる視点から消費者を保護しており、併用可能なことで利用者にとっては多重の保護が得られるメリットがあります。

金融サービス提供法の役割とは?

この法律は主に、金融機関の説明義務や勧誘行為の規制などに焦点をあてています。たとえば、商品説明が不十分だったり、誤解を与える勧誘があった場合、業者に是正措置を求める根拠となります。

さらに、「書面での重要事項説明」「虚偽の説明の禁止」などが法律で明文化されており、消費者が不当な金融商品の契約を避けやすくなります。

消費者契約法の保護内容とは?

消費者契約法では、契約そのものに対する無効や取消しのルールが用意されています。たとえば、誤認や困惑による契約であれば、契約の取消しが可能です。

また、「将来の利益を過度に強調された」「損失のリスクがまったく説明されなかった」などの事例にも有効に機能します。

併用できることで何が変わるのか?

両方の法律を併用できることで、「勧誘時の不適切行為への是正請求」+「契約自体の取消し」という2つの対応策が可能になります。

たとえば、ある投資信託を購入した際に、金融機関が「元本保証です」と虚偽の説明をした場合金融サービス提供法に基づき違反を指摘できると同時に、消費者契約法に基づき契約自体を取り消すことも検討できます。

併用メリットの具体例①:高齢者が誤解して契約したケース

70代の高齢者が「元本保証」と言われて仕組債を購入。結果的に損失が発生。

→ この場合、虚偽説明に対して金融サービス提供法で金融機関に是正勧告を求められ、さらに「元本保証」という誤認に基づき消費者契約法で契約取消を主張できます。

併用メリットの具体例②:強引な勧誘と契約の取消し

深夜に訪問し、「今契約しないと損する」と急かして保険商品を契約させたケース

→ これは金融サービス提供法上の不適切勧誘に該当し、同時に消費者契約法の「困惑による契約」にも該当。両法の併用で、損害回復+契約取消しを同時に主張できます。

両法を併用する際の注意点

実務では、どちらの法律を優先して使うかは状況次第です。金融サービス提供法は主に金融機関に対する是正手段、消費者契約法は契約そのものの無効や取消しを目的としています。

そのため、まず消費者契約法で契約の取消しを求め、それが認められなければ金融サービス提供法で業者側の説明責任を問うという手順も現実的です。

まとめ:両法の併用で「契約前」「契約後」の両方をカバー

金融サービス提供法は契約前の説明責任・勧誘方法に焦点があり、消費者契約法は契約成立後の効力にアプローチします。

この2つを併用することで、消費者は契約時の保護からトラブル発生後の救済まで幅広い選択肢を確保できます。

契約に疑問を感じたら、両法の活用を視野に入れて法的な対処を検討するのが得策です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール