交通事故により休業を余儀なくされた場合、休業損害を請求するには「休業損害証明書」の提出が必要です。しかし、会社に作成を依頼してもなかなか対応されないケースや、退職後のやり取りに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、会社側が休業損害証明書の作成に応じない・遅延している場合の対処法について、法律や労務の観点から解説します。
休業損害証明書とは?
休業損害証明書とは、事故による休業期間中の収入の減少を証明する書類であり、損害保険会社や加害者側に対して損害賠償を請求する際に提出が必要です。多くは勤務先が作成し、勤務状況や給与額、休業日数などを記載します。
損害保険会社や弁護士が用意する指定様式に記入してもらうのが一般的で、会社側にとってもそこまで複雑な作業ではありません。
退職後でも会社は作成義務があるのか
たとえすでに退職していても、在籍していた期間の就労状況に関する証明であるため、会社には休業損害証明書を作成する義務があります。これは過去の事実を証明するものであり、善意による対応ではなく法律上の協力義務として扱われます。
労働基準法や民法709条(不法行為による損害賠償)などを根拠に、元社員に必要な証明を提供する責任があると解釈されています。
会社が対応しない・遅れている場合の考えられる理由
休業損害証明書がなかなか届かない背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 書式に不慣れで、どう記載すべきか分からず対応が遅れている
- 退職に伴う心理的な距離や事務優先度の低下
- 会社に人手が足りない、担当者が不在
いずれの場合も、意図的に無視しているとは限りませんが、長引くことで被害者側が困るのは確かです。
対応策1:丁寧に再連絡する
まずは電話やメールなどで、冷静かつ丁寧に再度依頼しましょう。その際、以下の点を伝えると効果的です。
- 損保会社への提出期限が迫っている
- 作成の必要性を再度説明する(保険金請求に必要など)
- 書式を再度添付し、記入見本も送る
メールであれば証拠も残るので、可能であれば文書でのやり取りをおすすめします。
対応策2:損害保険会社や弁護士に相談する
自分で対応しても進展がない場合は、損保会社の担当者に介入を依頼しましょう。彼らから会社に直接連絡してもらうことで、対応が早くなることがあります。
また、弁護士に相談して内容証明郵便を送るなどの法的手段を取ることも検討できます。退職しているからといって、証明書の作成を拒否することは正当化されません。
書類作成における注意点
会社が作成する際、勤務実態や給与情報を正確に反映してもらうことが重要です。内容に誤りがあると、損害賠償請求額が正しく算定されない可能性があります。
また、事前に源泉徴収票や給与明細のコピーも準備しておくと、会社側の記入がスムーズになります。
まとめ:冷静な再確認と専門家の力を借りることが鍵
休業損害証明書の作成が進まず不安な場合でも、まずは丁寧に状況確認をし、それでも改善しない場合は損保会社や専門家に相談するのが有効です。退職後であっても会社に協力義務があることを理解し、焦らず対処していきましょう。
必要な権利をしっかり主張しつつ、冷静なコミュニケーションを心がけることが、スムーズな解決への近道です。