インターネット広告において「○○大学と共同開発」や「国立研究機関が認めた」などと謳う製品広告を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。見た目はもっともらしくても、実態は胡散臭いと感じるケースも少なくありません。この記事では、そうしたネット広告の仕組みと、なぜ取り締まりが難しいのかについて解説します。
「大学との共同開発」と謳う広告の手口とは
一部の広告では、「東京大学と共同開発」「国立の研究所が認めたヒーター」など、実在する機関の名前を使って製品の信頼性を演出しています。こうした表現は、あたかも権威の裏付けがあるかのように見せかけることで、消費者の購買意欲を高めようとする意図があります。
しかし実際には、大学名を勝手に使っていたり、大学との関係が極めて限定的だったりする場合も多く、消費者が誤解するような表現となっていることがあります。
なぜこのような広告が放置されているのか
消費者庁や都道府県の消費生活センターは、こうした不当表示に対して監視を行っていますが、すべての広告を事前にチェックするのは現実的に困難です。また、広告主が海外に拠点を置いている場合や、頻繁にサイトを変更することで追跡を困難にしているケースもあります。
加えて、「あくまで個人の感想です」や「※○○大学の研究データを参考にした」といった曖昧な表現で法の網をかいくぐるケースも多く、取り締まりの難しさが際立っています。
消費者庁も警告する「優良誤認」表示のリスク
消費者庁では、「実在する機関との関係を誤認させる表示」は景品表示法における「優良誤認表示」に該当する可能性があると警告しています。2023年には、某健康食品の広告で「大学教授監修」と表示していたが、実際には関与していなかったとして措置命令が出された事例もあります。
消費者庁の公式ページでも、こうしたネット広告に対して注意喚起が行われています。
実例:実在機関の名を騙った広告トリック
過去には「NASAの技術を応用した布団」と謳って販売していた製品が、実際にはNASAとは無関係だったことが報道され問題となりました。同様に、「○○大学と開発」と書かれた冷風機の広告も、大学側が公式に否定する事態に至っています。
このように、いかにも信頼できそうな言葉が並んでいても、根拠のないマーケティング用語である可能性が高いため注意が必要です。
私たちができる対策とは
こうした広告から身を守るためには、まず「すぐに購入しない」という姿勢が重要です。製品名や広告で使われている機関名をインターネットで検索し、本当に関与しているかどうかを確認するのが効果的です。
また、広告から直接購入するのではなく、公式販売元や信頼できるECサイトを通じて情報収集や購入を検討するのも一つの方法です。
まとめ:広告に潜む虚偽表示にご注意を
ネット広告において「共同開発」「監修」「推薦」などの表現が使われていても、実際に関係しているかどうかは別問題です。消費者自身が正しい知識を持ち、疑問を持つことが最大の防衛策となります。誤認を避けるためにも、冷静に情報を判断する目を養うことが大切です。