交通事故の被害者となったとき、加害者がその場から立ち去ってしまったり、身元が分からないまま別れてしまったりするケースがあります。とくに自転車対自動車の事故では、パニック状態の中で適切な対応が取れず、後から後悔することも少なくありません。本記事では、加害者不明の事故に遭ったときの適切な対応や救済策について解説します。
事故直後にすべき対応と注意点
交通事故に巻き込まれた直後は動揺してしまうのが当然ですが、以下のポイントを押さえることで、後の手続きに役立てられます。
- 加害車両のナンバーを確認・記録:可能ならスマホで撮影。
- 加害者の連絡先・免許証情報を確認:その場で写真に残すのが確実。
- 目撃者がいれば協力を依頼:連絡先も聞いておきましょう。
- すぐに警察へ通報:現場検証と事故記録は被害者にも必須です。
被害者にも通報義務があります。たとえ「大丈夫」と口にしてしまったとしても、時間が経つにつれて痛みや不調が出ることもあるため、必ず警察に届け出ましょう。
相手の情報が不明な場合に警察ができること
加害者のナンバーや明確な車種が分からない場合でも、警察は以下の情報から捜査を試みます。
- 事故現場周辺の防犯カメラ映像
- ドライブレコーダーを設置している車両からの協力
- 近隣施設への聞き込み
事故発生時刻と場所、車の特徴(色・形・メーカーなど)、加害者のおおよその年齢・性別などの情報でも、捜査の手がかりになる可能性があります。
実際に、防犯カメラ映像から車両を特定し、後日加害者が判明したケースもあります。
加害者が不明でも救済される方法とは
加害者が見つからない場合、泣き寝入りするしかない…と思われがちですが、救済制度も用意されています。
それが「政府保障事業制度」です。この制度は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)でカバーされない無保険車やひき逃げなど、加害者不明の場合にも補償を受けられる公的制度です。
▶ 政府保障事業制度(損害保険料率算出機構)公式ページはこちら
医療機関の受診と記録の保存も重要
事故後すぐは痛みがなくても、時間が経つにつれて症状が出てくることがあります。早期の受診は補償や後遺障害認定の上でも大切なステップです。
医師の診断書や通院記録、領収書、自転車の修理費用の見積書などは、すべて写真やコピーで保管しておきましょう。
弁護士に相談するメリット
加害者不明の交通事故では、対応の複雑さから心身ともに疲弊しがちです。早めに交通事故に強い弁護士に相談することで、証拠の集め方や政府保障事業の申請手続きまでサポートを受けられます。
弁護士特約が付帯していれば、費用の自己負担なく利用できる場合もあるため、自身の自動車保険を確認しましょう。
まとめ:泣き寝入りせず、できることから行動を
交通事故で加害者の情報が分からなくても、必ずしも泣き寝入りしなければならないわけではありません。警察への報告、医療機関の受診、記録の保全、そして弁護士相談や制度活用といった具体的なアクションが、あなたを守る手段になります。
事故の被害は心身ともに大きなストレスとなりますが、冷静な対応と正しい知識が大切です。まずは一つずつ、今できることから始めてみましょう。