医療事故に巻き込まれたとき、被害者本人や家族にとっては精神的・経済的負担が大きく、どのような対応をとるべきか判断に迷うことも多いものです。この記事では、医療事故に対して適切な対応をとるために、弁護士への依頼や紛争処理センターの利用についてわかりやすく解説します。
医療事故後にとるべき基本的な対応とは
医療事故が起きた場合、まずは医療機関からの説明を受け、事故の原因や経緯について記録しておくことが重要です。事故に関する診療記録やカルテ、画像データなどもコピーして保存しておくと、後の交渉や法的手続きで役立ちます。
病院側が過失を認めた場合でも、その補償内容が妥当かどうかを判断するためには、法律の専門家や第三者機関の助言が有効です。
個人弁護士に依頼するメリットと注意点
医療事故に詳しい弁護士に依頼することで、損害賠償請求の進め方や病院との交渉方法について法的なアドバイスを受けることができます。特に後遺障害や生活への深刻な影響がある場合、損害額の適正な算出や訴訟の可能性を考慮するには弁護士の関与が欠かせません。
ただし、弁護士費用は事務所により異なり、着手金・成功報酬・実費などがかかる点には注意が必要です。初回の法律相談を無料で行っている事務所も多いため、まずは複数の弁護士に相談してみることをおすすめします。
紛争処理センター(ADR)の特徴と利用法
医療ADR(裁判外紛争解決手続)は、裁判によらずに中立的な第三者が間に入り、医療機関と被害者との話し合いを支援する制度です。費用も比較的安価で済み、手続きも迅速に行えるという利点があります。
例えば「医療ADRセンター(日本医療機能評価機構)」では、医療の専門知識を持った調整委員が双方の意見を聴き、合意形成をサポートします。弁護士が同席することも可能なので、両者の併用も視野に入れられます。
弁護士と紛争処理センター、どちらを選ぶべき?
両者にはそれぞれメリットがあり、事案の複雑さや解決したい内容によって最適な方法は異なります。
- 早期解決を重視する場合:紛争処理センターの活用が有効。費用負担も少なく、調整委員が丁寧に仲介してくれます。
- 損害賠償請求の規模が大きい場合:専門弁護士に依頼し、裁判など法的手続きも視野に入れて対応したほうがよいでしょう。
- 両者の併用:まず紛争処理センターで話し合いを進め、不成立の場合に備えて弁護士と連携しておく方法もあります。
実際のケースに学ぶ:神経損傷事故の例
ある手術で使用された注射針が神経を傷つけた結果、患者は握力の低下や激しい慢性痛を抱えることになりました。このケースでは、病院側の過失が医師会によって認定された後、弁護士の助言を受けながら紛争処理センターを経由して和解に至りました。
このように、損害が日常生活に深刻な影響を及ぼす場合は、医療事故に強い弁護士と紛争処理機関の双方の力を借りるのが現実的です。
まとめ:後悔しないために正しい支援を受ける
医療事故の対応には精神的にも大きなエネルギーが必要です。専門的な助言を受けながら、納得のいく形での解決を目指すことが大切です。
弁護士と紛争処理センターのどちらかに迷った場合は、まずは無料相談から始めてみましょう。それぞれの制度の特徴を理解し、自分の状況に合った支援を選ぶことが、よりよい未来への一歩につながります。