過失運転致傷で検察庁に呼ばれたものの、対応が丁寧で短時間で終わった場合、「不起訴になる可能性はあるのか?」と不安や期待が入り混じるかもしれません。本記事では、軽微な交通事故における起訴・不起訴・略式命令の判断基準や、示談の成立、被害者の態度が与える影響について解説します。
過失運転致傷とは?その概要と刑罰
過失運転致傷とは、自動車運転中の不注意により他人に傷害を負わせた場合に適用される犯罪です。道路交通法上の違反に該当しない場合でも、刑法の「過失傷害罪」ではなく、自動車運転死傷処罰法が適用されます。
法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金」となっており、実際には事案の軽重や被害者との示談の有無などを踏まえ、検察が処分を決定します。
不起訴・略式命令・正式起訴の違いとは?
不起訴とは、検察官が裁判にかけず事件を終結させる処分です。略式命令は、軽微な事件において書面審理のみで罰金刑を科す制度で、起訴されるものの裁判にはならない簡便な手続きです。正式起訴は通常の刑事裁判が開かれるケースで、比較的重い事案が対象になります。
たとえば、「全治1か月程度のケガで、通院はしているが入院は不要な場合」「過去の違反歴が軽微で長期間空いている」「飲酒運転や重大な違反がない」などの要素が揃っていれば、略式命令または不起訴になる可能性が高くなります。
示談が成立している場合の処分への影響
加害者と被害者との間で示談が成立しているかどうかは、検察の処分判断に大きく影響します。特に、物損部分についてすでに示談が済み、人身についても保険会社が対応している場合、被害者の感情が穏やかであるなら、不起訴や略式の方向に働きやすい傾向があります。
実際に、全治1か月程度の事故で被害者との関係が良好、かつ謝罪や補償が十分に行われていた場合、不起訴処分となった例は少なくありません。
検察庁での対応時間が短いことの意味
検察官との面談が短時間で終了することは、ある程度処分が軽い方向で検討されているサインとも言えます。たとえば「50分以内で終了した」「対応が事務的で淡々としていた」という場合、重大な争点がない、または検察が重要な判断をすでにしている可能性が高いです。
逆に、長時間にわたり聴取された場合や、事故状況について執拗に聞かれた場合は、刑事処分に影響する何らかの争点があると考えられます。
事故の発生場所や状況が与える影響
事故が発生した場所が「見通しの悪い横断歩道」など、事故の発生リスクが高い場所であっても、加害者が制限速度を守り、信号遵守や徐行を行っていたかが重要視されます。たとえば、横断歩道上で歩行者を見落として接触したものの、明らかなスピード違反や信号無視がない場合、悪質性は低いと判断されやすいです。
また、「交通環境が悪いが注意義務は果たしていた」と認められる場合、刑事処分が軽く済む可能性もあります。
まとめ:不起訴や略式処分の可能性は十分ある
今回のような事例では、示談の成立、被害者感情の穏やかさ、違反歴の軽さ、検察対応の簡潔さなどが揃っているため、不起訴や略式処分となる可能性が十分にあります。もちろん、最終的な判断は検察官の裁量に委ねられますが、過去の類似例を見ても前向きに捉えてよいケースといえるでしょう。
不安が残る場合は、交通事故案件に強い弁護士への相談も有効です。